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言わなければ良かった、と桃華は後悔したが、樋口は声のトーンを上げ、顔を近づけてきた。
「えええ、いいやっ、ぜんっぜんっ!私にだって尊敬している方はいらっしゃるから。いつまでも、どこまでもお慕いしたいって思うもの。で、どなたなの?桃華の好きな方は」
時が止まったかのような静寂。
「はあぁぁ、いくら桃華でもそれは認められないっ!だって、だって、宿敵ってことでは無いか」
そして、話し声が大きくなる樋口。
「桃華、これは聞かなかったことにする。だからこれから私と、普段通り接してくれ」
「驚かせてごめんなさい」
お互い気まずさを感じながらも、樋口と桃華は機械室を出た。
暫くの間扉の前に立っていたが、無言だった樋口が一言。
「では、機会が有ればまた話そう」
正直に自分の気持ちを伝えたことに桃華は後悔していない。それに、樋口の反応は優しいものだったのだ。
そのはずなのに、エリア嬢と居るのにどうしても落ち着かない夜を過ごすことになってしまうのだ。
「姐さん、元気が有りませんが、兄に何かされたのですか?」
寝ようともせず、ただ酒を飲む樋口の揺れ動く心に誰よりも早く気がついた銀。
「いいえ、芥川先輩は何も悪く有りません。誰も悪く無いのに、ああぁ!落ち着かない」
「樋口、黙って寝ろ」
更にグラスに注いで飲み干し、一人で叫ぶ樋口の酒を芥川が取り上げる。
朝、五時にセットしてあったエリスの目覚まし時計が鳴った。金属同士をせわしく触れあわせたような音。
もう慣れてきてた桃華は、吃驚して飛び起きる様なことは無くなった。
「あら、おはよう桃華。これ、リンタロウからプレゼントよ」
「お早う御座います」
エリス孃が渡したは、両手の大きさ程の薄く四角い機械。スマホという名前がついている。
初めて見るいくつかのものは首領から渡されるもので、わざわざ用意して下さるのだと思うと桃華は感謝よりも、申し訳無く思えた。
「エリスさん、首領さんは何が好きですか?そういえば私、知らないんです」
「私よ」
「成る程」
桃華が真剣に考えていたら、エリス孃が笑い出した。
「冗談のつもりで言ったのよ。突っ込んで欲しかったわ」
桃華は私がエリスさんになれば首領さんの喜ぶ姿が見れるのになあ、とも真剣に思う。
いっそのことエリス孃に変装すれば良いのでは、と。
「そうだ、桃華。私、花を植えたの。見にきてちょうだい」
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作者名:とおゆち x他1人 | 作成日時:2023年4月22日 22時