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「これからも期待しているよ」

桃華に告げようとした森は、エリス孃に追い出されていった。

「さぁ、お絵描きしましょう」

早速エリス孃は、クレヨンをベットの上に並べ始める。

「汚れてしまいます」

「リンタロウに掃除させればいいのよ」

エリス孃は森をマシーンのように扱い、桃華は代わりに働きたいくらいに思っている。

「あぁっ、桃華、私を描いてくれて居るのね!私も桃華を描いてあげる」

クレヨンでお絵描きなんて初めの桃華は、何を描こうか、と隣を見てエリス孃を思い浮かべた。

「有り難う御座います」

「痛いっ!桃華、絵が描けたからはさみで切り抜こうとしたの」

先を切ってしまったエリス孃の親指からは血が出ていて痛そうに見えた。

咄嗟に桃華が思い立ったのは、さっき起きた不思議な力のこと。

「あ、リンタロウがよく描いてくれるやつね。リンタロウ、下手だけど」

絆創膏に兎を描きエリス孃の指を両手で温めるように触ると、桃華の親指は切れて血が出る。

「治してくれたのね。ありがとう」

嬉しそうにクレヨンを握るエリス孃の手は綺麗で、親指の怪我なんて見当たらなかった。

※ ※ ※

「どうした、風邪でも引いたのか、愚かだな。肺は弱いが僕は、風邪を引く程愚かでは無い」

一言二言付け加え、隣で咳をする子供に声をかけた。

「昨日、エリスさんと喋りすぎてしまって」

顔の前で手を振り、子供は苦笑する。

「そうか、それにしても愚かだな。ところで、何故僕はこのようなことをしなくてはならぬのだ。僕には、太宰さんに認められるための強敵しか要らぬのだが」

最近の僕のところに転がりこんでくるのは、つまらない仕事ばかり。敵組織の奴らを罠に嵌める、という下らない任務だ。

樋口はともかく、こんな小さな子供なんぞ居なくても僕は任務をこなせると思っていたのだが、

「何をすれば良いのだ?」

このような類の仕事は不慣れな故、ちっとも分からないのだ。

「偽造パスポート作りです」

「弱者を殺して奪えば良いだけの話だろう。何故こんなつまらぬことをするのだ」

問えば、「え」と首を傾げる樋口。此奴もこのような仕事は経験したことが無い。分かるはずもないか。

「えと、『XK』に、見抜かれました」

薄暗い武器庫のような場所にいる十数人。声を発したのは子供だ。

「何っ?」

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作者名:とおゆち x他1人 | 作成日時:2023年4月22日 22時

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