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「1年ぶりだね。泉桃華ちゃん。君はあの時の誘拐事件が、女性の自作自演だったことを見事当てたんだね。なんて頭が切れる子なんだろう」
首領の話に、頭に皿を乗せているかのように背筋を伸ばして立っていた中也さんは、隣に居た子供の肩を掴んだ。
「おいおい、すげぇじゃねえか餓鬼っ!そこらへんの警察は無能しかいやしねぇが」
子供を見る表情を変えた中也さんに、苦笑する首領。
「納得したようだね中也君。君は私のことを覚えて要るかな?」
兵隊のように固まって話を聞いていた子供は首を振る。
「私は森鴎外、ポートマフィアの首領だ。君は泉桃華、14歳で間違い無いね」
頷いた子供に、首領は満足そうな顔を見せる。エリス嬢に着せるドレスを選ぶ時とは違う顔で、安心したのはきっと樋口だけだ。
泉桃華、14歳。
血で服も手も真っ赤に、その心は真っ黒に染まり始める。ポートマフィアという組織に足を踏み入れた今、この瞬間から。
※ ※ ※
「あら、おはよう桃華」
桃華の目に入ったのは金髪の女の子。
「おはよう、ございます?」
今は朝だろうか。状況がわからず、返した挨拶は疑問形。知らない場所に緊張している桃華を、女の子は笑った。
「実はね、今は昼なのよ」
誰だろう、と桃華は女の子を見つめる。
「あたしはエリスっていうの」
「エリスさん、こんにちは」
名前を呼ぶと、エリス嬢は嬉しそうに手を叩いて立ち上がった。
「リンタロウー、桃華起きたわよ」
エリス嬢がドアに向けて呼びかけると、首領の森は飛ぶような速さで向かってくる。
「よく寝ていたようだね。この家は君とエリスちゃんのものだ。自由に使ってくれて良い」
「ありがとうございます」
でも私には住む家が―、と、そんな言葉は飲み込み、桃華は礼を言った。
「早速だが、君に仕事を頼みたいと思う」
首領から連絡だ。桃華は目を合わせようと立ち上がる。
「桃華ちゃん、君以外の人には出来ない仕事だ、頼まれてくれ。邪魔者を排除するんだ、良いかい?此処では、私の命令は絶対なんだよ」
信頼とは程遠い、威圧感。
「初仕事だ。出来ないと君は、マフィアには居られないよ」
断ったら、此処を追い出される。断ったら、また孤独。断ったら、誰からも期待されない日常が戻ってくる。
そんな身勝手な恐怖から、桃華は仕事を引き受けてしまったのだ。
「桃華、お前なら出来るよ。いいや、お前にしか出来ない」
樋口が正面から桃華の肩を叩く。
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作者名:とおゆち x他1人 | 作成日時:2023年4月22日 22時