嘘10 ページ10
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「A。そろそろいくぞ。」
「ん。」
優しい、お父さんが私を呼びかける。
そのお父さんの声もふわっと、優しい声だなってわかる。
「A。」
「…おに、ちゃん…」
お兄ちゃんが部屋から出てきた姿を見たら
視界がぼやけて、頬に違和感を感じた。
ボロボロと流れ出す涙。
お兄ちゃんは私を助けてくれた人。
私が入院しても、お母さんに怒られても
全部、全部お兄ちゃんは私のことを思ってくれた。
初めて、お兄ちゃんに抱きついた。
お兄ちゃんも私の背中に手を回して、上からポタっと、雫が私の頬にかかって
「また…遊びくるから。一生の別れじゃないから…」
「…あぁ、またな。絶対に会おうな」
「…うん。約束。」
お母さんは見送りには来ないらしくて
お兄ちゃんと私とお父さんで空港に向かった。
────────────────
その空港に向かっている間、お兄ちゃんに徹と別れた事を言った。
お兄ちゃんはそっか、と言って私の頭を撫でた。
今日はお兄ちゃんは学校を遅刻していくらしい。
「…で、徹に引っ越すことは？」
「…？行ってないよ？クラスの皆と、バレー部なら国見が知ってるよ？同じクラスだし。」
「は？！お前、ちょ？！えぇ…」
お兄ちゃんは混乱したかのように言葉を詰まった。
そしたらすぐに何か真剣な顔して考え事をしていた。
「あ、父さんちょっとコンビニ寄っていい？」
「ん？いいぞ。」
お兄ちゃんがパッとお父さんに問いかけた。
お腹減ったのかな…？
丁度近くにあったコンビニに入って車を止める。
するとすぐにお兄ちゃんはコンビニに行った。
「Aはお腹すいてないか？」
「あ、ううん、大丈夫だよ！」
そうお父さんに言ったら、そうかと言ってふわっと笑った。
…お父さんって改めてイケメンって思った。
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作者名：なゆ | 作成日時：2017年7月15日 13時
