２１２話 ページ24
｢何されるんだろうな、蒼蝶様は｣
蒼蝶様から部屋を出るように言われ全員で食堂に戻る。
｢能力の讓渡だよ｣
そう口を開いた蒼虎に全員の視線が集まり蒼虎は続けた。
｢半年前、蒼蝶様は俺におっしゃられたんだ。悪魔の実を探せ、と。｣
口を挟む者はいなかった。半年前と言えば、火拳は既に白ひげを離れた後であった気がする。悪魔の実は簡単に手に入るものではない。だからこそ黒ひげが仲間殺し未遂を起こしたのである。悪魔の実を巡っての戦いはいつの時代でも絶えないのだ。
｢条件は五強の実のどれか。｣
悪魔の実にはランクというものが存在する。トップは五強。蒼蝶様のミズミズ、黒ひげのヤミヤミ、白ひげのグラグラ、不死鳥のトリトリ、そしてソラソラ。
｢ソラソラを探しに行ったよ。それこそ世界の端から端まで。｣
狸屋の潜水艦を休む間もなく全速力で走らせれば、一月で全世界の半分の海を回ることが出来る。情報島を渡り歩いたとは言っても２ヶ月半で見つけることは奇跡でも怒らない限り無理だ。奇跡さえも味方につける、狸屋でなければ。
｢それを蒼瀧が食べる、ってことか？｣
蒼師が口を開いた。蒼柔でない理由はただ一つ。蒼柔は悪魔の実を食べることは出来ないからだ。傭兵島出身の能力を持つものだからだ。悪魔の実と時に勘違いされるその力を持つのは簡単ではない。家柄に関係しているとの言い伝えもあるがそれは違う。家から家に受け継がれるのだ。そう考えれば、家柄に関係しているというのは嘘ではないだろう。実力者が命を犠牲に次の実力者、つまり後継者に受け継ぐものだ。体の中に一つの能力を所持していることになる。悪魔の実をたべるとキャパオーバーだ。
｢そういうことだな。能力の讓渡を行うために。｣
誰かが窓の外を見てあっと呟いた。紅く大きな月が海から顔を出し輝き始めていた。
｢しかも、今日は紅月｣
蒼豹様から蒼蝶様への能力の讓渡の日も同じ紅月であった。聞くところによると、紅月の日は能力の悪魔は活性化しやすいらしい。所詮噂に過ぎないが、この日を蒼豹様が選ばれたことは、そういうことであろう。
だが時間のない蒼蝶様がこの日を選ばれたのはたまたまか、否か。それは分からない。
｢能力の讓渡は確定か｣
静かになった食堂は少しだけ空気が重たかった。誰もが心のどこかで望んでいたのだ。もしかしたら蒼蝶様は自分を能力讓渡の相手に選んでくれるかもしれないと。
｢覚悟を、決めなくちゃいけないな｣
｢ああ。｣
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ヴィジリア(プロフ) - 最後に本当に素晴らしい作品でした。こんなお話を作ってくださってありがとうございました。長々とお話ししてしまい申し訳ありません。文字数が多くて入りきりませんでした。作者さん小説に限らずですが、これからも頑張ってください。いつか読まれる事を楽しみにして (2018年8月4日 2時) (
レス) id: 93a99db6fc (このIDを非表示/違反報告)
ヴィジリア(プロフ) - 本人にとって幸せだったようで立派で短い人生ながらに濃い人生だったと思います。こんなにも悲しくて辛いお話は初めてでした。死ぬことが確定していたのに続編まで出ていたことに驚きました。どれだけ私を泣かせるんだってね笑。 (2018年8月4日 2時) (レス) id: 93a99db6fc (このIDを非表示/違反報告)
ヴィジリア(プロフ) - 今日読み終わり、号泣したのでコメントさせていただきます。イゾウの出番が少ないながらも主人公と愛し合っている感じがすごく感じました。ですが、それ以上に組織が大切だった主人公が辿った人生ははたから見れば悲劇で悲しすぎる人生でした。 (2018年8月4日 2時) (レス) id: 93a99db6fc (このIDを非表示/違反報告)
名無し20512号(プロフ) - 。さん» 返信遅れてすみません。初コメありがとうございます。お褒めの言葉ありがとうございます。この作品の閲覧ありがとうございました。更新頑張ります (2016年11月12日 1時) (レス) id: 34807cd403 (このIDを非表示/違反報告)
名無し20512号(プロフ) - ルナさん» 返信遅れてすみません。更新遅いのに待っていただきありがとうございます。最後までどうぞお付き合い下さい。 (2016年11月12日 1時) (レス) id: 34807cd403 (このIDを非表示/違反報告)
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