２１１話 ページ23
青の海を全速力で駆ける。そんな私の体ももう限界が近かった。それでも駆ける、駆ける。
あなた達を始まりの土地に連れていくために。
そして、最期まで狸屋として生きた貴女。今までありがとう。大変よく頑張りました。
｢今から、ワノ国に向かうわ。そうね、蒼瀧だけ残してこの部屋から出なさい。｣
俺だけ残されたこの部屋で蒼蝶様が何をされるのか全く検討もつかなかった、と言ったら嘘になる。少し前に蒼虎が持ってきた情報そして木箱。それらから関連付けられることは。
｢蒼瀧、悪魔の実を食べるつもりはある？｣
それ以外に、ない。能力の讓渡のためには前提条件として悪魔の実の能力を一つ以上持っていることが挙げられる。そのためと考えるのが妥当であろう。
｢何の実でしょうか？｣
蒼蝶様は机の引き出しから木箱を取り出し、厳重に掛けられている鍵を一つ一つ外しはじめた。
｢この実を食べることを蒼瀧は拒むかもしれない。でもこの実は狸屋のトップとしてふさわしい実だと思っているの、私はね。｣
遂にその全てのロックが外れる。中から取り出されたのは青の渦巻き模様の実。その青は海の青をいうよりはどちらかと言えば空の青に近いような気がした。
｢ソラソラの実。悪魔の実のツートップであるヤミヤミ、ミズミズに次ぐ強さを誇る。ただ、弱点として海の水にはとても弱くなる。｣
思わず感嘆のため息がもれた。悪魔の実五強に数えられるこのソラソラの実。手に入れることは容易ではなかったはずだ。
｢ありがとうございます、ぜひ食べさせてください。｣
そう言うと蒼蝶様はふわりと笑い俺に実を差し出した。美味しいとはいえない味がするという、悪魔の実。躊躇うことなく口にほおりこんだ。すぐに水を飲みその苦味を緩和させる。
｢よかった、蒼瀧が悪魔の実を食べることを選んでくれて。｣
窓からもれる赤の夕焼け。海に反射しキラキラと輝いていた。美しい。今まで見たことがないほど美しい。だが、それはまるで世界が最後を迎えるかのような不気味さだった。紅い月が空を統べた。
｢今日も紅月か。｣
｢そうですね。あの日と同じ紅月。｣
蒼豹様が亡くなる前日も同じような紅月の空だった。そしてその日能力の讓渡が行われたのだ。目を閉じれば今でも鮮明に思い出す。あの日の紅月を、あの日の狸屋を。
｢早速で悪いんだけど、能力の讓渡を行いたいと思うの。｣
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ヴィジリア(プロフ) - 最後に本当に素晴らしい作品でした。こんなお話を作ってくださってありがとうございました。長々とお話ししてしまい申し訳ありません。文字数が多くて入りきりませんでした。作者さん小説に限らずですが、これからも頑張ってください。いつか読まれる事を楽しみにして (2018年8月4日 2時) (
レス) id: 93a99db6fc (このIDを非表示/違反報告)
ヴィジリア(プロフ) - 本人にとって幸せだったようで立派で短い人生ながらに濃い人生だったと思います。こんなにも悲しくて辛いお話は初めてでした。死ぬことが確定していたのに続編まで出ていたことに驚きました。どれだけ私を泣かせるんだってね笑。 (2018年8月4日 2時) (レス) id: 93a99db6fc (このIDを非表示/違反報告)
ヴィジリア(プロフ) - 今日読み終わり、号泣したのでコメントさせていただきます。イゾウの出番が少ないながらも主人公と愛し合っている感じがすごく感じました。ですが、それ以上に組織が大切だった主人公が辿った人生ははたから見れば悲劇で悲しすぎる人生でした。 (2018年8月4日 2時) (レス) id: 93a99db6fc (このIDを非表示/違反報告)
名無し20512号(プロフ) - 。さん» 返信遅れてすみません。初コメありがとうございます。お褒めの言葉ありがとうございます。この作品の閲覧ありがとうございました。更新頑張ります (2016年11月12日 1時) (レス) id: 34807cd403 (このIDを非表示/違反報告)
名無し20512号(プロフ) - ルナさん» 返信遅れてすみません。更新遅いのに待っていただきありがとうございます。最後までどうぞお付き合い下さい。 (2016年11月12日 1時) (レス) id: 34807cd403 (このIDを非表示/違反報告)
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