第十一章『Alice in the Garden《スノーリリイ》』【4】 ページ42
「・・・僕はずっと不思議だった。僕は御国が憎い・・・なのに何があってどうして許せないのかどんどん忘れてく」
はぁはぁと、酸素を体の中に取り入れながら自身の中に在った記憶の矛盾を言葉にして紡ぎ出す。
「そうだ・・・僕は今まで何度も御国が家を出た日のことを思い出そうとして御国の部屋に入ろうとした。そしていつも・・・東館に入る直前で誰かに・・・」
―――――その時、常に傍には信頼していた吸血鬼がいたはずなのに。
侮蔑と怒りに染まった眼差しで御園はリリイを肩越しに見遣りながら睨み付ける。
「・・・リリイ。貴様がその度に僕の記憶や感情を操作していたのか!? みんなで僕の思考を都合の良いように補正して! 僕はばかみたいにこの庭で幸せに暮らしていたんだな!! 一体何を隠してる!?」
「違・・うんです御園。あの・・・」
初めて御園からぶつけられた激しい怨嗟の感情にリリイは茫然自失状態に陥ってしまう。
しかし、そんなリリイの様子などもはや目に入っていない御園が次に思い浮かべたのは3日前に、有栖院邸を訪れていた真昼と瑠璃達の事で。
「せっかく友達が伸べてくれた手も貴様が払い落としたも同然じゃないか!! もう僕に近づくな!!」
主従の立場として、完全に拒絶する言葉を御園が口にした刹那―――――
「違・・・うんです、みその」
リリイの表情は絶望に染まり、そのまま立ち尽くしながらうわ言を洩らすように御園に向かって言葉を紡ぎ出しかけた処で。
ヒュォと空中で張り巡らせた糸に身を預けたオトギリが操作する人形が隙だらけとなっていたリリイの背後に姿を現し―――――。
ドと勢いよく繰り出されたナイフにリリイは背中から刺されてしまい、契約の証であった時計までもがそのまま貫かれて破壊されてしまったのだ。
※占ツク転記/19/9/28
【本館/19・9/28/別館/19・9/28掲載】
朱臣繭子
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今回の4話目は、御園sideは夢主の出番があまり無いモノになる為・・・・・。
迷った末に原作の中で大事な場面を絞って話を纏めました。
次の話では、また夢主ちゃんにも頑張って貰う予定です。
10月は職場で試験を受けなければいけなくなった為、執筆にはまた時間を要すると思われますが・・・・。長い目でお待ち頂けましたら幸いに思います。
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作者名:朱臣繭子 | 作成日時:2019年8月7日 23時