第十一章『Alice in the Garden《スノーリリイ》』【3】 ページ27
「洞堂さん!? なんで・・・・・っ」
「だから・・・言ったんすわ。謁見はとびきり慎重にって・・・」
一瞬の間に起こった出来事に、茫然とした面持ちで言葉を洩らした瑠璃に視線を向けることなく、ゴッと床に勢いよく倒れこんだ鉄のほうを見遣りながら、洞堂は気まずそうな様子で、はぁ・・・と溜息を洩らしつつ言う。
それから次に襲撃を仕掛けてきたのは真昼たちにお茶を淹れてくれたやまねだった。
やまねの頭にはメイドキャップが落ちないよう、まるで巨大な待ち針のようなデザインの有栖院家の紋章が入ったモノが二本挿してあったのだが、それを右手で、す、と一本抜き取るとそれを武器として、真昼と瑠璃を狙って攻撃を繰り出してきたのだ。
「―――――っ!!」
バチッ!! と白銀の閃光が瞬き、さらにその後にガキン!! という激しい金属音が響き渡る。
瑠璃の『鍵』の力が発動し、やまねからの一度目の攻撃をまず防いだ処で、その後にすぐさま別の角度から展開された、二度目の攻撃はその時に真昼と瑠璃の傍らに素早く移動をしてきたクロが、左手に持ったフォークで食い止めたのだ。
「オイ・・・ばーちゃん・・・向き合えねーなぁ・・・」
眉を顰めながら、諫めるようにそう洩らしたクロに対し、
「人様のお家ではお行儀良くするものですよ?」
穏和な笑みを浮かべたまま、やまねは言い返してくる。
それからすぐさまテコの原理を利用するように、素早くフォークの間に挟まっていた武器を上に向かって跳ね上げるようにしながら、三度目の攻撃を仕掛けてきて―――――結果、手にした武器のリーチの差もあり。
「に゛ゃ―――――!!」
押し負けてしまう形になったクロは、黒猫の姿に変わってしまった処で、逃げる隙を与えられることなく、首輪の内側を通った針によって、ドッとそのまま壁にぶら下げられてしまう。
「クロ!」
真昼が叫ぶ。
と―――――
「吸血鬼の戦争なんて私の息子の知ったことではない。御園の意志を聞くまでもない・・・御園には戦わせたりなどしないよ」
戦況を見ていた御門が抑揚のない口調で宣言する。
その傍らに控える御門の秘書である三月は、お茶会が終了した時点から、眉一つ動かすことなく。王様である御門からの命が無い限り、一切の行動を起こすことは無さそうだった。
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作者名:朱臣繭子 | 作成日時:2019年8月7日 23時