第七章『遭遇』【2】 ページ48
「えっと・・・・・・すみません。この先は祭りで通行止めなんです。お車でお越しの方は離れた駐車場があるので―――――・・・」
祭り実行委員という文字が両サイドに入った法被を羽織って、ボランティア活動に尽力する事となった真昼に与えられた主な役割は交通整理だった。
けれど―――――
そこに御園の専属運転手である洞堂が車でやって来て、お祭りの屋台の食べ物―――――綿菓子15個、たこ焼き15個、クレープ15個・・・などなど。
大量のそれらを有栖院家の下位の子供たちから買ってきて欲しいと言われたのだという話を聞かされた真昼は、
「買うものリスト貸して下さい。すぐ俺が買って来ます」
と駐車場までは距離があるということから、洞堂に代わって屋台まで走り。
その後は―――――
「えっ、迷子?! 誰と一緒に来たの? 一緒に探そうっ」
泣いている幼い女の子を宥めつつ、保護者を一緒に探したり。
「えぇっ、サイフ落とした?!」
財布の落とし主が杖を着いた老人であったことから、代わりに本部にそれが届けられていないか確認に走ったり。
「打ち上げ花火はここじゃ見にくいですよっ。お父さん、場所取りなら急がないと・・・っ」
花火の場所取りまでも、手伝ったり。
「えっ、一番おいしいクレープ屋を探してる?!」
さらには、お店のリサーチまで行ったり。
「契約した事業内容以上のことを率先してやる・・・さすが残業大国ニッポン・・・」
ヨーヨー釣りと射的―――――ゲーム系の屋台で遊んだ後は、祭りの醍醐味とも言える、屋台の食べ物の味も少し楽しんでから、真昼の処にクロと瑠璃はやって来たのだが―――――。
疲弊した様子の真昼から、事情を聞いた処でクロが洩らしたのがその言葉だった。
「でも困っている人を見過ごせないっていうのは真昼君の長所でもある訳だから・・・・・・」
眉を下げつつ、やんわりとクロを窘めるように口を開いた瑠璃は、購入してきたオレンジ味のカキ氷を真昼に差し出す。
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マユ(プロフ) - 千佳華さん» お祝いのコメント&感想、有難う御座います。夢主のクロへの告白、グフッとなって頂けたなら何よりです♪ (2018年10月13日 23時) (レス) id: 6997652f0b (このIDを非表示/違反報告)
千佳華(プロフ) - 続編おめでとうございます!『クロ、好きだよ』に思わずグフっとなりました← (2018年10月13日 22時) (レス) id: 6ba1c8129e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朱臣繭子 | 作成日時:2018年10月13日 22時