第五章『嘘に隠れた想いと描いた未来』【7】 ページ15
「おっと」
「!?」
しかし、それに対して、男は慌てた様子もなく―――――。
まるでボール球でも避けるかのような調子で男が身を低くすると、弾丸は真昼の頭上を通り過ぎ、その刹那、男が被っていた帽子を撃ち抜いたのだ。
血の気の引いた顔で、真昼が硬直していると、ぼそ、と背後から声が聴こえてくる。
「なぜ・・・約束を守らない・・・」
「な・・・!? 何?!」
顔を引きつらせながら、怖々と真昼がそちらを振り返ると、硝煙を立ち上らせながら、銃を構える、ダウトダウトの姿がそこには在った。
「え? 何だっけ?」
骨董屋の男が、蔑むような笑みを浮かべながら、ダウトダウトに聞き返す。
「この仕事を終えたら・・・血を飲ませる約束・・・」
左目の側だけ、大きくくり抜かれた覗き穴から、男を睨みつけるように見据えながらダウトダウトが言った。
「聞こーえなーいなぁ―――――?」
すると、男は左手を耳元に掲げながら、HA?とからかうような調子でそう返したのだ。
それを目にしたダウトダウトは、すぐさま肩を怒らせながら両腕を掲げると、ガシャ! と隠し持っていた幾本もの銃を両手に取り出し、それを男に目掛けて乱射を始めた。
「あっはっはっ。ジェジェってば、こわーいなあー」
しかし、男は笑いながら、ドドドドドドドドッ―――――と、跳んでくる銃弾を、うたれる〜〜〜と、ステップを踏むようにして避けていた。
その異様な光景を、暫し真昼が唖然としながら見ていると、やがて、ダウトダウトは諦めたのか、壁に背を向けると蹲ってぶつぶつと、何やら呟き始めてしまった。
「ジェジェは、すぐに撃ってきやがる。怖いね―――――アベル?」
やだやだと、男はそんなダウトダウトの後ろ姿を見つつ、小馬鹿にするような笑みを浮かべながら、人形に向かってそう語りかけると、地面で気を失ったままだった黒猫をひょいと掴みあげ。
「はい。君の猫」
めった撃ちにして悪かったね―――――と、言いながら差し出してきたのだ。
「あ・・・」
反射的に手を伸ばすも、受け取る時、びくっと真昼は、身体を震わせてしまう。
そうして俯いてしまった真昼に、ふいに、雰囲気を一変させ、酷薄な笑みを浮かべると男は言った。
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マユ(プロフ) - しゃちほこさん» 初めまして、しゃちほこ様。そんな風に仰って頂けるなんて、言葉に尽くせないくらい、嬉しいです。執筆意欲は途絶えていないのですが話を纏めるのに悪戦苦闘していてお待たせしてしまい本当に申し訳ありません。その分、待った甲斐があったと思って貰えるよう頑張ります (2018年2月10日 13時) (レス) id: 6997652f0b (このIDを非表示/違反報告)
しゃちほこ(プロフ) - もー大好きな作品です!更新楽しみに待ってます、頑張って下さい (2018年2月9日 18時) (レス) id: 24de325d54 (このIDを非表示/違反報告)
マユ(プロフ) - 千さん» またまた、コメント有難う御座います。私も千さんを見習って、妄想力を高めて、話作り頑張りたいです♪ (2017年12月24日 21時) (レス) id: 6997652f0b (このIDを非表示/違反報告)
千(プロフ) - マユさん» 私は108回の除夜の鐘とともに、通常運行で108ほどのぼんの……、妄想しようと思いますww (2017年12月24日 13時) (レス) id: c3a5a30d5d (このIDを非表示/違反報告)
マユ(プロフ) - 千さん» 千さん、コメント有難う御座います! 私は大晦日は、除夜の鐘付きをして煩悩整理します(笑) (2017年12月23日 19時) (レス) id: 6997652f0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朱臣繭子 | 作成日時:2017年8月20日 0時