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第五章『嘘に隠れた想いと描いた未来』【3】 ページ35

「真昼・・・どうしてお前なんだ・・・。お前が猫を拾わなければ。ただの猫だなんて嘘をつかなければ。オレは今・・・お前側に立っていたかもしれないのに。オレは明日もお前の親友でいられたのに。・・・瑠璃さんを・・・悲しませるような事態にもならなかったのに」

 哀しそうな苦しそうな顔で真昼を見つめながら桜哉は言う。

「こんな簡単なことで世界なんて壊れていくんだよ」

「俺はっ・・・俺はただ!! 吸血鬼のことに・・・友達みんなを・・・お前を巻き込みたくなかったから・・・っ」

「黙れ!! オレを信用していないから話さなかったんだろ!! オレを友達だと思ってるならどうして嘘なんかついた!? オレのために嘘をついたって言いたいのか!?」

「違う・・・っ」

 真昼の必死の弁明は、桜哉に届く事は無く。その背後では手品師の吸血鬼が、それを嘲笑うかのように飛び跳ねていた。

「オレは嘘つきが一番嫌いだ・・・。お前が嘘なんてつくからもうお前の何一つ信じられねぇよ。頭から爪先までバラバラになりそうだ。嘘をつかれるってそういう気持ちだ」

 桜哉は、空き地のビルの壁に立てかけられた、ひび割れたガラス扉に手を着くと、虚ろな瞳で言った。

 そして、キシとガラスに爪を立てると、キキキキキキキと耳触りな音を鳴らしながら、喚くように言葉を続けていく。
「バラバラになったあとは二度ともとの形には戻らない。一度、嘘をつかれたらつかれる前の関係には決して戻れないんだ。何もかもを疑ってしまうから。教えてやる。人がバレていないと思っている嘘の九割はバレてるんだ。―――――ああでもその嘘を嘘だと知りながら知らないフリをしていたオレも嘘をついていたことになって。ああ・・・ああああああああああああああ人は恐ろしいよ。油断すれば(ころ)される。気をつけないと。(ころ)される前に(ころ)さないと」



 ―――――クロ・・・



 背中に二本の剣が突き刺さったまま、倒れ伏している相棒に、真昼は視線を彷徨わせる。



 ―――――あいつに襲われた時と同じだ



 両耳を塞ぎながら「サクヤ、すぐこの音出すからムカツクよォ〜」と顔を顰めている手品師の吸血鬼を視界の片隅に捉えながら、真昼は心の中で迷っていた。

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マユ(プロフ) - 紅羽さん» 変換洩れ、ご指摘下さいまして有難う御座います。後から加筆した文章が変換されていなかったようで・・・。再度、一括変換を行いましたので、全てのページがこれでされているかと思うのですが・・・。万が一、又発見されましたら遠慮なくご指摘下さいませ。 (2018年9月3日 21時) (レス) id: 6997652f0b (このIDを非表示/違反報告)
紅羽(プロフ) - 『嘘に隠れた想いと描いた未来』【1】 の最後の話の前半、主人公の名前が変換されていなかったので、指摘させていただきます! (2018年9月3日 8時) (レス) id: de0e7143c3 (このIDを非表示/違反報告)
マユ(プロフ) - カナさん» 楽しみと言って頂けて、とても嬉しいです! 亀更新ですが、その分、頑張って執筆致します。コメント有難う御座います!! (2017年8月11日 23時) (レス) id: 8d3457ac29 (このIDを非表示/違反報告)
カナ - 続きが楽しみです! (2017年8月11日 22時) (レス) id: b5a85efb84 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:朱臣繭子 | 作成日時:2017年6月27日 0時

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