第二十二章『雲壌懸隔』【2】 ページ38
「はっは! いやー、お風呂洗おうかなーと思ったんだけど。滑ってバスタブん中転がったらそのまま・・・」
すや―――――っと寝てしまったのだと吊戯は笑いながら告げてきて。
「・・・・・・」
―――――それって、一歩間違ったらとても危ないんじゃ・・・・・・。
その発言を聞いた瑠璃は思わず当惑の眼差しを向けてしまうも。
「珍しいことするもんじゃないね〜〜〜。オレ実はカナヅチでさあ。お湯張るのって滅多にしなくて」
はっは! と吊戯は気にした様子もなくまた笑い返してきて。
「さてと。真昼くん達の部屋の浴室の電気だっけ? 直してあげるよ。コツがあるんだ」
そう言いながら浴室から出ようとした処で―――――。
「―――――・・・・・・っ」
再び、明るくなった電灯によって、傷だらけの吊戯の背中をハッキリと目にしてしまった瑠璃は、暗がりの室内の中でシャツを見つけ出して着ようとした吊戯の腕を反射的に掴んでしまう。
「ん? どうかした? 瑠璃ちゃん」
きょとんと振り返ってきた吊戯に、
「・・・・・・吊戯さん、その身体の傷・・・・・・」
茫然とした面持ちで瑠璃がそう言うと。
「ああ、ごめんね。びっくりさせちゃったかな? 傷の大半はオレの不注意だから」
吊戯は困ったように眉を下げつつも、笑みを浮かべながら応じてきて。
「不注意って・・・・・・。それだけで済ませられるようなものじゃ・・・・・・っ」
「ダメだよ、瑠璃ちゃん。前に言ったでしょ、オレは善人じゃないって。こんな格好のままのオレといつまでも二人っきりでいたりしたら、何されたって文句は言えないよ?」
グッと眉根を寄せた瑠璃に向かって、ふと吊戯はニヤッと意地の悪い笑みを浮かべると。
シャツを手放して、そのままガバッと瑠璃に対して覆いかぶさるように抱き着いてきて。
「ぇえっ・・・・・・!?」
「うん、思っていた通り。やっぱり、瑠璃ちゃんは抱き心地が良いね♥」
突如として起こった状況に思考が追い付かず、一瞬固まってしまった瑠璃に対し、吊戯は囁くような声音で話しかけてくる。
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マユ(プロフ) - のりさん» 数ある物語の中で目に留めて頂けただけでなく。そのようなお言葉を頂けるなんて!私も思わず狂喜乱舞してしまう程嬉しいです!原作とキャラのイメージを崩すことなく、夢主とのやり取りを今後も楽しんで頂けるよう頑張ります! (2021年7月6日 22時) (レス) id: f50f5d2051 (このIDを非表示/違反報告)
のり - 先日最近こちらの作品を見つけました。大事にゆっくり読もうと思っていたのに、つい一気に読んでしまいました!特にキャラクターと夢主達のやり取りがかわいくてニヤニヤしてしまってます…^-^サーヴァンプの夢小説が読めて心から嬉しいです…!! (2021年7月6日 18時) (レス) id: 19bc179a44 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朱臣繭子 | 作成日時:2021年6月29日 22時