第二十一章『千錯万綜』【2】 ページ44
「いやはや、お待たせしました〜。調整に時間かかっちゃって」
その時、頭部に溶接面を付けた金髪の少女が、ガチャガチャガチャと音を響かせながら、腕の中に複数の漆黒の武器らしきモノを抱えた状態で入室してきて。
「―――――イズナちゃん!」
一度、C3に連れてこられた際に仲良くなった彼女だと気づいた瑠璃がその名を呼ぶと。
「OH瑠璃ちゃん! それに城田真昼くん! 二人とも、お久しぶり!」
此方に気づいたイズナもまた挨拶を返してきてくれて。
「開発班期待の新エース! C3の
と―――――C3に置いて自身が所属している場所と立場をイズナが口にすると。
「
「二人とも、壊れた時計とかメガネとかはないかな!? 何でも直しちゃうよ!」
右手に工具を持ちながら、 溶接面を顔の前に下ろすと、嬉々とした雰囲気を纏いながら、真昼と瑠璃に向かってそう尋ねかけてきて。
「えと、イズナちゃん。せっかくの申し出だけど・・・・・・」
けれど、現状に置いて修理を必要としているモノは特にないことから、丁重に瑠璃が断ろうとした処で。
「おいテメェがぶっ壊した俺の時計。早く弁償しろ」
弓景がまたイズナに絡むように、今度は苦情を述べたのだが。
「
壮大な望みを抱いている彼女には、その言葉もまた聞き流されてしまい。
「無視してんな、クソ女。抱きしめっぞ」
終いには、そんな口説き文句のような言葉を弓景は口にしたのだが。結局、それにもイズナは反応することなく。
―――――自分が興味のあることに夢中になってると、つい周りが見えなくなることもあるわよね・・・・・・。
瑠璃が苦笑いを浮かべると、弓景も恐らくは同じように思ったのだろう。
ムスッとした顔をしながらも、仕方がないといった様子で、口を閉じて。
「これが・・・魔法の道具?」
イズナが持ってきてくれた道具を、各々確認する作業に移ることになったのだが―――――。
真昼も戸惑いの面持ちになりながら、試しに長棒の形をした道具を一つ手に取ってみたものの、特に何も変わることはなく。
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作者名:朱臣繭子 | 作成日時:2021年4月25日 2時