検索窓
今日:4 hit、昨日:0 hit、合計:12,600 hit

第二十章『不倶戴天の関係』【2】 ページ4

「え〜〜〜〜〜〜? やだな〜〜〜本心なのに♥ 今晩食事どう♥」

 それでも吊戯はへこむことなく、もう一人の女性職員にも誘いの声をかけたものの。

「「オゴリませんよ貧乏人♥」」

 結局、二人から軽くあしらわれてしまい。

「ハモらんでも♥」と笑って返した後に、吊戯は彼女たちと別れて此方へとやって来たのだが。



 パタパタパタッ―――――と軽やかな足取りで姿を見せた吊戯と、吊戯の気配を察知して待ち構えるようにそちらを向いて立っていた御国。

 二人が対面してから数秒間―――――奇妙な沈黙がその場を支配した。

 その間、真昼と瑠璃は緊張と困惑の入り混じった眼差しを御国と吊戯に目を向けていたのだが。

「おやおや〜〜〜〜〜〜!? オレが出張で支部にいないときしか来ないと噂の〜〜〜? 国ちゃんじゃないか〜〜〜!! 久しぶり♥ 今日はオレに会いに来てくれたのかな〜〜〜? 嬉しいな〜〜〜♥」

 先に口を開いたのは愛想のいい笑顔から一変して、悪辣な笑みを浮かべた吊戯だった。

 そして「はい♥ 面会料♥」と右手を差し出しながら金銭を要求してきた吊戯に対し、御国はぺんとその手を叩く仕草をすると「早く死ね♥」と侮蔑の笑みを返していて。

「あれあれぇ〜? 冷たいな〜? オレとキミの輝かしい青春の日々を忘れちゃったの〜?」

「はい〜〜〜? あんたとの青春の日々なんて身に覚えないですけど〜〜〜?」

 その後も嫌味の応酬を繰り広げる二人の姿を見て。



 ―――――あ・・・この二人・・・―――――

 ―――――・・・仲が悪いのね・・・―――――



 真昼と瑠璃が思わず揃って、憔悴した面持ちになりながら心中でそう呟くと。

「傷ついちゃうな〜〜〜〜〜〜。オレ国ちゃんのためになんでもしたのにな〜?」

 吊戯は御国に対して、今度は殊勝な面持ちで両手を組みながら訴えかける、という手立てに打って出たものの。

「借金地獄のクズに金を恵んでやろうと労働させてあげただけですけど〜〜〜〜〜〜?」

 御国はそれに乗ることはせず、腕の中に人形を抱きながら、はっ、と嘲笑の笑みを浮かべたのみだった。

第二十章『不倶戴天の関係』【2】→←第二十章『不倶戴天の関係』【2】



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.0/10 (10 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
23人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:朱臣繭子 | 作成日時:2021年4月25日 2時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。