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第十九章『C3の魔法使い』【1】 ページ9

そもそも、まだケガが完治していない強欲組の二人がなぜ、城田家にいるのか。

 ロウレスが目覚めたのは、ちょうど5日前のことだったのだが。そのわずか2日後―――――則ち今から3日前に、リヒトが『入院は飽きた。お前の家なら行ってもいいと言われた』と城田家に来訪してきて。

 暫く泊まると言い出した事が全ての発端だった。

『真昼くんの家ならまあ・・・いいでしょう』

『そうしてもらえるとありがたい! オレはいろんな手続きにもう少しかかりそうだから。それに瑠璃さんも一緒なら、二人も少しは大人しくしていてくれると思うから』



 そうしてその際に、病院でも手を焼いていたらしく、露木とクランツからも、そんなふうに言われてしまい。

 なんだかみんなに押し付けられた感はある・・・と眉を顰めた真昼とともに。

 でも二人ともかなり元気そうだから良かったわ・・・・・・と瑠璃も苦笑を浮かべつつ。今は不在である徹の部屋に、ばたばたと急ぎ、来客用の布団を運び込んで、宿泊の準備を整えたのだが。

 二人が来てからのこの3日間。内側からなのに、ドアノブをいくらガチャガチャとやっても玄関の扉が開く事はなく。家を出られない状況になってしまっていて。

『必要なものはこちらで用意しますので外に出ないように』

 C3の職員が宅配のような形で荷物を届けに来た時、外から一時的に扉が開かれた際にそう告げられはしたものの。



 一体何が起きているのか。

 この寒さも椿のせいなのか・・・?

『ちゃんと対話した上で協力しましょう! これ以上、椿を放っておけない!』

 露木から協力体制を求められた時、真昼はそう返答をしたのにも関わらず。

 ―――――C3からは結局、何の説明もないままで今日に至ってしまっている。



 そして電源を入れたテレビの画面に気象情報が映し出され『異常気象で各地で異変が―――――』と報じられている中。

「リヒトさん。ケガは大丈夫ですか?」

 完成した朝食を食べながら、真昼が向かい側の席に着いていたリヒトに尋ねかけると。

「治った。なぜなら俺は・・・天使だから」

 ハニートーストを食べつつ、常の調子でリヒトはそう答えたのだが。



 

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作者名:朱臣繭子 | 作成日時:2021年1月15日 20時

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