第二十章『不倶戴天の関係』【1】 ページ44
「ああ来てるよ・・・あとは暴食くらいかな。ただC3は少し部外者に厳しくてね。自由に会ったりはもしかしたらすぐには難しいかもしれない」
会話に応じながら、持っていたティーカップを何処かに片付けてしまった御国の右手首には、具現化した武器である黒いロープが、しゅる・・・と這うように伸びてきていて。それが腕の辺りまでしっかりと巻き付いた状態になった処で、その先端を御国は右手で掴むと、常に連れ歩いている人形を左腕に抱えながら、しゅるるっと此側のフロアに向かって下りてきて。その後からジェジェもゆっくりと降下してきた処で。
「俺はC3については詳しいんだ。真昼くんと瑠璃ちゃんが困らないよう何か助言でもできればと思ってね。今度は俺も力になるよ」
つまるところ今回は味方として振舞うのだと御国は笑みを浮かべながら告げてきたのだが。
「でも、瑠璃ちゃんの傍には常に怠惰がいるみたいだから。二人の邪魔はしない程度にしておいたほうがいいかな?」
「あ、あのっ、御国さん・・・・・・いま私たちがこうしているのは、その、不可抗力で・・・・・・」
ニヤリと笑いながら揶揄うような視線を向けてきた御国に対し、はわわと瑠璃が顔を赤くしながら言い返すと。くくっと御国は笑いながら「うん、そうみたいだね」と頷いてきて。
そんな御国をクロが眉を顰めつつ見遣りながら「向き合えねー」と漏らした時。
―――――御国さんとジェジェも来た。
―――――これでサーヴァンプ全員揃うんじゃ・・・。
瑠璃とクロの事をいじる御国に対して真昼は苦笑いを浮かべながらそう逡巡していたのだが。
「真昼くん、それから瑠璃ちゃんも。C3について・・・まずいくつか忠告をしてあげたいんだけど」
改めて言葉を紡ぎ出した御国に対して真昼は目を瞬かせると、
「あ・・・御国さん、昔C3にいたんですよね・・・?」
少し前に聞き知った情報を口にしてみる。
「えー? やだなあ、そんな昔話・・・誰に聞いたの?」
すると、トンとキーボードの上に人形を座らせながら、御国が聞き返してきて。
「吊戯さんに聞いたんですけど・・・・・・」
真昼に続いて瑠璃が御国の顔色を見るようにしながら答えると。
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作者名:朱臣繭子 | 作成日時:2021年1月15日 20時