検索窓
今日:4 hit、昨日:16 hit、合計:19,740 hit

第十九章『C3の魔法使い』【3】 ページ36

「おもしろい冗談だね!!!」

「おもしれぇ冗談だな!!!」

 吊戯も弓景も何故か大爆笑していて。

「おい、どこが面白いんだ。言ってみろ!!」

 盾一郎が二人を睨むと、

「ゆみかちゅるぎがいい! ちゅるぎにだっこするー!」

 ぐい、と右手で盾一郎の顔を押し退ける仕草をしながら、急に拓人が駄々をこね始めて。

「いて! あーもう、お前どこが具合悪いんだよ! 元気じゃねぇか!」

「よしよし。ちゅるぎが抱っこしてあげよう!」

 そこで吊戯が笑みを浮かべながら両腕を差し伸べると、ぐずっていた拓人はすぐさま吊戯の首にしっかりと両手を伸ばしながらしがみついて。

「くそ・・・こいつ、弓と吊戯のこと大好きすぎるだろ・・・パパをないがしろにしやがって・・・」

 盾一郎の手の中に残されたのは通園帽子のみで、吊戯の腕の中に大人しく収まった拓人に恨めしいと言わんばかりの目を向けると。

「盾一人じゃパパとして力不足ってことだろ。いいんじゃねぇか? いっそ・・・パパが3人でも」

 ニヤッと弓景が笑みを浮かべながら、そんな台詞を口にして。

「それ、他の人が聞いたらすごい誤解を生みそうな気が・・・・・・」

 その台詞を聞いた瑠璃が思わず微苦笑を漏らすと。

「あぁ? 豪華でいいだろうが?」

 弓景が睨むように目を向けてきたのだが。

 と―――――

「瑠璃ちゃんにもだっこするー!」

 吊戯に抱きかかえられていた拓人が、ふいに瑠璃のほうに目を向けると、瑠璃に向かってぐいっと両手を伸ばして。

「えっと、私も・・・・・・?」

 戸惑いの面持ちで瑠璃が目を瞬かせると、

「はっは! 拓ちゃんもやっぱり男の子だね」

 吊戯が笑みを浮かべながら此方にやって来て。

「というわけで、瑠璃ちゃん。拓ちゃんのこと少しの間だけ頼めるかな?」

「わかりました。・・・・・・クロはここでちょっと待っててね」

 腕の中に抱いていた黒猫をそっと傍らの席に下ろすと、後部席の扉を瑠璃は開いて車外に出る。

第十九章『C3の魔法使い』【3】→←第十九章『C3の魔法使い』【3】



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (18 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
55人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:朱臣繭子 | 作成日時:2021年1月15日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。