第十九章『C3の魔法使い』【3】 ページ36
「おもしろい冗談だね!!!」
「おもしれぇ冗談だな!!!」
吊戯も弓景も何故か大爆笑していて。
「おい、どこが面白いんだ。言ってみろ!!」
盾一郎が二人を睨むと、
「ゆみかちゅるぎがいい! ちゅるぎにだっこするー!」
ぐい、と右手で盾一郎の顔を押し退ける仕草をしながら、急に拓人が駄々をこね始めて。
「いて! あーもう、お前どこが具合悪いんだよ! 元気じゃねぇか!」
「よしよし。ちゅるぎが抱っこしてあげよう!」
そこで吊戯が笑みを浮かべながら両腕を差し伸べると、ぐずっていた拓人はすぐさま吊戯の首にしっかりと両手を伸ばしながらしがみついて。
「くそ・・・こいつ、弓と吊戯のこと大好きすぎるだろ・・・パパをないがしろにしやがって・・・」
盾一郎の手の中に残されたのは通園帽子のみで、吊戯の腕の中に大人しく収まった拓人に恨めしいと言わんばかりの目を向けると。
「盾一人じゃパパとして力不足ってことだろ。いいんじゃねぇか? いっそ・・・パパが3人でも」
ニヤッと弓景が笑みを浮かべながら、そんな台詞を口にして。
「それ、他の人が聞いたらすごい誤解を生みそうな気が・・・・・・」
その台詞を聞いた瑠璃が思わず微苦笑を漏らすと。
「あぁ? 豪華でいいだろうが?」
弓景が睨むように目を向けてきたのだが。
と―――――
「瑠璃ちゃんにもだっこするー!」
吊戯に抱きかかえられていた拓人が、ふいに瑠璃のほうに目を向けると、瑠璃に向かってぐいっと両手を伸ばして。
「えっと、私も・・・・・・?」
戸惑いの面持ちで瑠璃が目を瞬かせると、
「はっは! 拓ちゃんもやっぱり男の子だね」
吊戯が笑みを浮かべながら此方にやって来て。
「というわけで、瑠璃ちゃん。拓ちゃんのこと少しの間だけ頼めるかな?」
「わかりました。・・・・・・クロはここでちょっと待っててね」
腕の中に抱いていた黒猫をそっと傍らの席に下ろすと、後部席の扉を瑠璃は開いて車外に出る。
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作者名:朱臣繭子 | 作成日時:2021年1月15日 20時