第二十章『不倶戴天の関係』【1】 ページ46
「・・・・・・そのせいで瑪瑙さんはそんな状態になっているというわけですか」
クロに抱きかかえられた状態で膝の上に座っている瑠璃の姿を露木は眉を顰めながら見遣りつつ、首から下げていた社員証IDをPCに向けて掲げてきて。するとピッという音とともにセキュリティの解除が為されて。あっ、動けると真昼が椅子から立ち上がった処で。クロもまた自由の身になったのを確認した後に、瑠璃を膝の上から下ろすと。ぽふと人型から黒猫に変わって。ニャ―――――と鳴き声を上げた黒猫がピョンと瑠璃の右肩に乗る。
その時、何故か露木は此方に背を向けた状態で立っていて―――――
―――――・・・・・・露木さん、何かあったのかしら?
露木の雰囲気が以前会った時よりも、ピリピリしていると感じた瑠璃が眉を寄せながら露木の様子を見ていると。
「そういえば、ここに来る前に吊戯さん見たよ〜〜〜。相変わらずへらへらとクズやってるね。修平ってば、まだあんなクズに庇われてんの〜〜〜? ま―――――ったくあの人達も修平も・・・ここはほーんと変わんないよな〜〜〜」
「っ」
あっはっはと揶揄するように御国が口にした言葉に対して露木が微かに肩を震わせて。
皮肉めいた物言いを御国がするのはいつものことではあるが、これは話を途中で中断されたことに対する八つ当たりも入っているのではないだろうか。
「御国さん! その言い方は・・・・・・」
そう感じた瑠璃が眉を顰めながら御国を見遣ると、
「瑪瑙瑠璃さん。城田真昼くん。この際だから言っておきますが俺はこの人が大嫌いです。ついでに言えばあの3人も嫌いです。当然吸血鬼も嫌いです」
此方に顔を向けてきた露木が憤怒の形相で御国を睨みながらそう言い放ってきて。
そんな露木の姿に真昼がどうすればいいのか分からず困惑の面持ちになっていた一方で。瑠璃の右肩に乗っていた黒猫が『吸血鬼も嫌い』という言葉に反応して、チラリと露木を一瞥した時。
「露木さん・・・・・・」
瑠璃も気遣わしげに露木の様子を見ていたのだが。
「珍しいね、どうしたの感情的になって」
御国は激昂した露木に対して動じるどころか、蔑みの笑みを浮かべていて。
「だいたい嫌いですから、今後もし何かあったときには、それを念頭に置いてもらえると助かります」
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作者名:朱臣繭子 | 作成日時:2021年1月15日 20時