第十六章『誤算』【１】 ページ27
誤算
「さて・・・場所はこの辺りのはずだけど。誰が出迎えてくれるのかな・・・？」
人質交換の取引に応じた椿がコンと下駄を鳴らしながら降り立った場所は木々が生い茂る森の中だった。
そこで不敵な笑みを湛えた椿が周囲に視線を巡らせると―――――
ズオオオオ・・・と異様な雰囲気を放つ�狃乎牒瓩�森の奥から姿を見せたのだが。
―――――・・・・・・？
刹那、そちらを見遣った椿は思わず唖然とした面持ちになってしまう。
「・・・・・・笑う気も起きないよ。どうしてくれるのこの空気・・・」
やって来たのは�爛�ジラの着ぐるみ�瓩鮹紊申乎弔世辰燭里澄�
予想だにしていなかった存在の登場に椿は覇気のない表情でぼやく。
と―――――
「てめぇが椿だな？」
「うお、びっくりした。可愛い外見のわりにずいぶん野太い声が出るんじゃないか」
さらに相反するギャップを見せつけてきた着ぐるみに対し、椿はびくっと肩を震わせると「中身オッサンなの？」と当惑の眼差しを向けたのだが。
「��
クジラの着ぐるみを纏った下位達の中でリーダー格の立場に在る―――――ギルデンスターンの発言により。
「ああ、そう・・・君達は�犇�欲�瓩�
着ぐるみの正体を理解した椿は目を細めながら薄い笑みを浮かべる。
刹那、両者の間に流れる雰囲気が一変したのを示すようにザア・・・と一陣の風が吹き抜けた。
「あんなクソガキでも
「いやあ。僕の細腕で男二人抱えてくるのは無理があったからさ」
ギルデンスターンからの要求に対し、椿は不敵な笑みを浮かべながら着物の袖の中に隠した状態の右手を左手の着物の袂の中にごそと差し入れると、
「二人を捕まえてる部屋の鍵で手を打ってもらおうと思ったんだけど」
「鍵・・・」
丸い輪っかに２本の鍵が付いたモノを取り出して見せた椿に対し、ギルデンスターンは緊迫した雰囲気を漂わせたものの。
第十六章『誤算』【１】→←第十五章『向き合うことの覚悟』【４】
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 47人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：朱臣繭子 | 作成日時：2020年7月31日 21時
