第十四章『“Life’s but a walking shadow”』【1】 ページ7
『ロウレスの居場所に心当たりはないか!?』
と、いうクランツからの問いかけの言葉に真昼は困惑してしまう。
『さっきリヒトから電話があって・・・』
そんな真昼に対し、クランツは事情を告げてくる。
昨夜、ロウレスが立ち去った後、1人で先に帰ったリヒトはまたカラオケに行っていたらしい。そして早朝の6時頃に、ロウレスが部屋にいるか、確認の電話をクランツにしてきたそうなのだが。
出掛けたままロウレスが戻っていないことを伝えた上で、どうかしたかとクランツが訊くと―――――『体がおかしい・・・』と、そうリヒトは返答してきたのだという。
「えっ!? 一体何が・・・」
『リヒトは今までロウレスを気にかけたりなんてしたことがない。それから『体がおかしい』とも言った・・・。オレが思うにおそらく・・・』
―――――
それがクランツと真昼が電話で話した上で出した見解だった。
「体が・・・重てぇ。前にクズネズミがなんか言ってたやつか・・・?」
ずる、ずる・・・と歩道側の建物に手を突きながら、重い体を引きずるようにしつつ、帰路に着いていたリヒトは顔に冷や汗を滲ませながら、チッと舌打ちを漏らすと。
―――――以前、ロウレスから云われた件を思い出す。
『ってワケで―――――オレ達が離れて24時間経っちゃうとリヒたんは死ぬんスけど! まっオレが『リヒたんなんて死んでOK!』って思うまではうまく距離を保ってあげるっスから!』
『うるせぇ、今すぐ死ね』
口端を吊り上げながら、小馬鹿にした様子で限界距離を説明してきたロウレスに対し、リヒトは憤慨した様子で蹴りを繰り出したのだ。
「上等じゃねぇか。あのクズネズミ・・・俺はこの程度で死ぬような天使じゃねぇ」
みつけて殺す。―――――と、リヒトが柳眉を吊り上げながら漏らした時だった。
「・・・彼の人はかくも遠けり。仕方無し・・・」
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作者名:朱臣繭子 | 作成日時:2020年4月25日 21時