第十五章『向き合うことの覚悟』【１】 ページ31
向き合うことの覚悟
薄暗い何もない空間―――――そこで何をするでもなく、独りでクロは寝転がっていた。
『・・・クロ？』
そこにひょこっと顔を覗かせたのは猫のような姿をした奇妙なぬいぐるみ。
『まーたこんな暗いとこで怠けてる。まさしく怠惰！』
それは�狢嫗騰瓩凌秦弔任△襯�ロの一部―――――瑠璃からは『力』くんと呼ばれている存在で。
『でもそのほうが世界は平和でいいかもね。ねぇ、�爛�ロ�瓠�
てってってっと軽い足取りで近づいてきた『力』はふと抑揚のない口調でそう漏らすと、ぽすっとクロに寄りかかるようにしながら座り込み。
『ここなら誰も起こしに来ないし。―――――でも瑠璃だけはあのまま連れてきちゃえば良かったのに。そうすれば、もうキミ以外と繋がることはなく、ずっと二人だけでいられたのに』
「・・・・・・うるせーなあ・・・」
皮肉めいた『力』の言葉にクロは顔を顰めると、無視を決め込む様に、首から下げていた�猯覘瓩鮖慇茲播召�す。
―――――ちりんちりんちりん―――――
闇だけが支配する空間に溶け込むかのように澄んだ鈴の音色が響き渡る。
―――――�爛�ロ�瓠宗宗宗宗�
その刹那、浮かんだのは光の中でふわりと微笑みを浮かべた瑠璃の姿で。
―――――こんな場所に瑠璃を閉じ込めるなんてできる訳ねーだろ・・・・・・。
グッとクロは眉を寄せるとその笑顔だけを心の奥底に沈める様に固く瞼を閉ざしたのだ。
第十五章『向き合うことの覚悟』【１】→←第十四章『“Life’s but a walking shadow”』【３】
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作者名：朱臣繭子 | 作成日時：2020年4月25日 21時
