第十三章『消せない罪』【３】 ページ45
―――――椿。それでも貴方は、兄弟戦争を続けるの？
瑠璃は目を伏せながら胸元の『鍵』をそっと握りしめると心の中で問いかける。
と―――――
ふいに感じた、不安定な気配に、はっと瑠璃は顔を上げる。
「・・・・・・クロ？」
いつの間にか、クロは一人でこの場から離れて歩き出していて。
「―――――待って、クロ！！」
傍に駆け寄った瑠璃がクロの右手を握りしめても足を止めることはせず。
「瑠璃姉！？ ちょっ・・・待てよクロ！ どこ行くんだよ、クロ！」
それに気づいた真昼もまた、後を追いかけて走り出す。
「・・・なんだか嫌な感じがしますね。��
「ふむ・・・面倒なやつと接触してしまったのう・・・」
そうして遠ざかって行ってしまった三人の後姿に、リリイが不安げな面持ちで漏らした言葉に人型に戻ったヒューが眉を顰めながら頷いたのだ。
「・・・・・・ねえ、クロ。何処に行くつもりなの？」
歩き続けるクロの右手は、いつの間にか瑠璃の左手をしっかりと掴んでいた。
けれど瑠璃の問いに一切答えることはせず、そのままトンネルがある方向に向かって行く。
「クロ！ おい・・・どうしたんだよ、ク・・・」
そして薄暗いトンネルの中に瑠璃を連れたまま、歩いて行こうとしたクロの背中に向かって真昼が再び大きな声で呼びかける。
と―――――
クロは虚ろな瞳で、無表情なまま、真昼に振り返ってきたのだが。
―――――クロ・・・変だ。
―――――ロウレスが昔の話を持ち出してからずっと変だ。
ドッドッドッと真昼の鼓動が激しく脈を打った。
「クロ・・・」
強張った表情で真昼はまたクロの名前を呼ぶ。
―――――お前昔何があったんだ？
―――――一体誰を殺したんだ？
―――――それとも殺さなかった？
―――――その多数決でお前は賛成したのか？
―――――それとも反対したのか？
―――――To Be or NOT To Be―――――
(訊くべきか？ 訊かざるべきか？)
その時、真昼の心の中に渦巻いていた�猝造い隆蕎隲瓩藁寨�にも伝わってきていた。
けれど繋がれたままのクロの右手からは、いまは何も感じ取ることが出来ないままで。
第十三章『消せない罪』【３】→←第十三章『消せない罪』【３】
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 75人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
マユ(プロフ) - 楓さん» 前作に続き、今作にもコメント下さいまして有難う御座います。ロウレスが夢主にオフィーリアの姿を重ねる話は他の方も結構書かれていたりする為。お約束は出来ませんが・・・・。今作も頑張って書き進めていくつもりですのでお付き合い頂けましたら幸いです！ (2020年2月15日 18時) (
レス) id: aafe96c388 (このIDを非表示/違反報告)
楓(プロフ) - 今回のもとても面白かったです！出来ればなのですが、夢主さんをオフィーリアと似ているって思うロウレスって出来ますか？この小説とても面白いので、頑張って下さい！ (2020年2月15日 10時) (レス) id: ccd9ca707d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：朱臣繭子 | 作成日時：2020年2月15日 1時
