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第十一章『Alice in the Garden《スノーリリイ》』【8】 ページ33

「!!」

 御国が何の理由もなく、父親宛の手紙を自身の処に保管などするはずが無いのだ。

 すぐさまそれに気づいた御園は、バッと一通の手紙を拾い上げると、広げてその内容を目で追っていく。





―――――手紙をありがとう。

 ―――――私達は母子ともに、健康でいます。

 ―――――子供には、貴方の名前から一文字もらって『御園』と名前を付けました。

 ―――――御園は最近少しずつ喋るようになりました。

 ―――――毎日、楽しそうによく笑います。




「お母さん・・・?」

 手紙の送り主は御園の実母である女性からのモノだった。

 それには生後まだ数ヵ月ぐらいであろう御園を腕に抱いて微笑む女性の写真も添えられていて。

 その笑顔はとても優し気で、幸せそうなものだった。

 呆然と写真を見つめた御園は、さらに他の手紙もまた手に取ると読み進めていく。





―――――あなたが送ってくれた小さな花の種、プランターで花を咲かせました。

 ―――――御園もその花がとても好きみたい。窓際でよく花を見ているの。

 ―――――なんて、未だ認識できないかしら。



 ―――――いつか、いろいろなことに説明が済んで、整理がついたら、御園を御国坊ちゃんと会わせてあげられないかしら。

 ―――――あの子はきっと、御園を可愛がってくれる気がするんだけれど。



 ―――――素敵な時計をありがとう。でもごめんなさい。お返しします。

 ―――――そんな高価な贈り物は受け取れません。

 ―――――この前のような、あなたが選んだ花の種や、あなたが撮った写真で十分です。



 ―――――どうか、奥様を大切にしてください。

 ―――――あなたが奥様を誰より愛していることは私もよく知っています。



 ―――――家族の写真をありがとう。

 ―――――御国坊ちゃんは大きくなりましたね。



 ―――――いつも、手紙をありがとう。

 ―――――あまり心配しないで。

 ―――――私は今、御園がいてくれて幸せです。




 

 御園の実母である女性から、御門に宛てて書かれた手紙は全て、一切の悲しみも、憎しみも感じられない―――――愛しみに溢れたもので。

 手紙を読み終えた御園の瞳からは、気が付くと涙が溢れ出していた。

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マユ(プロフ) - 楓さん» コメント、有難う御座います!又、ロウレスの登場、楽しみに待って下さっていたとの事で。ここまでお付き合い下さっている事に本当に心よりお礼を申し上げます!加えて、凄く面白いと言って頂けて本当に励みになりました。不定期更新ですが頑張って今年も執筆しますね! (2020年2月4日 21時) (レス) id: aafe96c388 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ロウレスの登場、ずっと楽しみにしていました!この作品、凄く面白いので、これからも更新頑張って下さい!! (2020年2月4日 20時) (レス) id: 4f59bad892 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:朱臣繭子 | 作成日時:2019年11月9日 23時

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