第十一章『Alice in the Garden《スノーリリイ》』【6】 ページ13
『行かないで御園。ただ何も知らないで。外はだめなの。とっても悲しいことがあるわ。泣いちゃったらどうするの? 傷付いたらどうするの? それでも知りたいの?』
すると少女は懇願するように御園の手を握りしめながら言い募ってくる。
しかし、少女の言動は何処か歪さを感じさせるもので―――――
「ちょ・・・っと待て、何を言ってる!? 隠し事があるならさっさと・・・」
困惑した面持ちになった御園が声を上げようすると、
『だめよ。だって守りたい』
それを遮って自身の願望を口にした少女の姿が突如として変貌を遂げたのだ。
短かった髪は腰までの長さに変わり、手足も伸びて、少女は大人の女性に成長をしていた。
そうして大人になった彼女が愕然とした面持ちになった御園の肩を両手で掴むと―――――
『守りたい守りたい守りたい守りたい守りたい守りたい守りたい守りたい守りたい守りたい守りたい守りたい守りたい守りたい守りたい守りたい守りたい守りたい守りたい守りたいのよ!! あなたをあなたをあなたをあなたをあなたをあなたをあなたをあなたをあなたをあなたを!! わたしをわたしをわたしをわたしをわたしをわたしを!!』
―――――悲痛な叫び声が空間の中に響き渡る。
その時、その叫び声に混じって、ピシッと何かが割れる音が瑠璃の耳朶には届いていた。
視線を彷徨わせると、水面に浮かぶ中くらいのサイズのイースターエッグの中の一つが割れてしまっているのが目に入った。
―――――あれは・・・・・・。
その割れてしまった小さなイースターエッグの元に瑠璃は近づいていくと、膝を折ってそれを腕の中にそっと拾い上げる。
割れてしまったこれも含めて、水面に浮かんでいるイースターエッグは、恐らくは彼女の心の一部なのだ。
―――――御園・・・・・・お願い・・・・・・・どうか・・・・・・―――――
欠片を通して、瑠璃の中にもまた、彼女の想いが伝わってくる。
「・・・・・・大丈夫、御園君ならきっと・・・・・・」
リリイの想いを受け止めた上で、きちんと自身の心とも向き合う事が出来るはずだから。
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マユ(プロフ) - 楓さん» コメント、有難う御座います!又、ロウレスの登場、楽しみに待って下さっていたとの事で。ここまでお付き合い下さっている事に本当に心よりお礼を申し上げます!加えて、凄く面白いと言って頂けて本当に励みになりました。不定期更新ですが頑張って今年も執筆しますね! (2020年2月4日 21時) (レス) id: aafe96c388 (このIDを非表示/違反報告)
楓(プロフ) - ロウレスの登場、ずっと楽しみにしていました!この作品、凄く面白いので、これからも更新頑張って下さい!! (2020年2月4日 20時) (レス) id: 4f59bad892 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朱臣繭子 | 作成日時:2019年11月9日 23時