第十一章『Alice in the Garden《スノーリリイ》』【5】 ページ1
「瑠璃姉・・・・・・」
悲しみに彩られた瑠璃の表情を目にした真昼は、ギュッと両手を握りしめると、
「椿、お前のやりたいことって・・・」
『あはははっあはははははははははははははははははあっは!! あははははははははあははあはっあははは』
絞り出すような声で真昼は問おうとしたのだが、再び笑い出した椿によってそれを遮られてしまい。
『面白くない』
さらに最後にまたこの言葉を紡ぎ出した処で、椿が手にしていた電話を後ろ手に投げ捨てしまったことから―――――ゴトッ、ガタン、ブツッという音が聴こえた後に、通話は終了となってしまったのだ。
ツ―――――ツ―――――ツ―――――・・・。
通話遮断の音が響く中、椿の傍若無人な振る舞いに、唖然とした表情で真昼は固まってしまう。
と―――――
「勝手なのは困ります・・・」
オトギリもまた、呆れたように息を吐き出しながらそう呟くと、ひらっとメイド服を翻してこの場から立ち去ろうと屋根の端に向かって進み始めたのだが。
「ちょっ・・・待てよ!!」
それを目にして、我に返った真昼が慌てた口調でオトギリを呼び止めようと、右手を上げながら叫ぶと、彼女は移動手段に用いる糸を口に咥えながらチラリと此方に振り返ってきて。
「
―――――椿の勝手気ままな態度に文句を洩らしつつも、命令は忠実にこなしている。その真意が真昼には理解する事が出来ない。
当惑した眼差しで真昼はオトギリを見つめるも、オトギリは感情を動かすことはなく。
「椿さんだけが私たちの全てだもの・・・」
―――――椿さんだけがオレに手を伸べてくれた・・・―――――
しばしの沈黙ののちに、オトギリが紡ぎ出した返答により、ふと真昼の意識の内に蘇ったのは、彼女と同様に椿の下位吸血鬼という立場に在る、友人である桜哉が涙を流しながら洩らした言葉だった。
「・・・椿って一体・・・」
茫然自失状態に陥った真昼に、オトギリはそれ以上何も言うことなく。
ふと、瑠璃に視線を滑らせると―――――
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マユ(プロフ) - 楓さん» コメント、有難う御座います!又、ロウレスの登場、楽しみに待って下さっていたとの事で。ここまでお付き合い下さっている事に本当に心よりお礼を申し上げます!加えて、凄く面白いと言って頂けて本当に励みになりました。不定期更新ですが頑張って今年も執筆しますね! (2020年2月4日 21時) (レス) id: aafe96c388 (このIDを非表示/違反報告)
楓(プロフ) - ロウレスの登場、ずっと楽しみにしていました!この作品、凄く面白いので、これからも更新頑張って下さい!! (2020年2月4日 20時) (レス) id: 4f59bad892 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朱臣繭子 | 作成日時:2019年11月9日 23時