第一章『誓約と契約』【2】 ページ10
―――――翌朝。真昼は学校へ。瑠璃は仕事に赴くと、家の中に残されたスリーピーアッシュはまた人型に戻り、気ままに過ごしていたのだが、それが『契約』に繋がるとは、その時は思いもよらなかったのである。
「―――――それで、真昼君は結局、料理隊長と衣装係の両方引き受けたのね」
真昼と、彼の幼馴染である三人の少年――――――桜哉、龍征、虎雪の三人と共に帰路に着きながら瑠璃は、文化祭の係決めをやっていた時の様子を聞いていた。
桜哉は左の髪の毛先だけ、外側にくるっとはねているのが特徴的で、よくふざけて冗談をいう。
龍征は釣り目で、髪をヘアバンドでアップにしており、どちらかといえば、気は長い方ではないかもしれない。
虎雪は厳つい名前に似合わず、柔らかい顔立ちで、のんびりとした優しい性格である。
と―――――三者三様ではあるが、三人は小学校からずっと真昼と仲の良い親友でもあるのだという。
そして瑠璃の現在の職場は、真昼たちの学校の購買であるため。
自然と三人とも面識ができ、気づけばこうして時折一緒に帰る事が習慣となっていた。
「だってさ、瑠璃姉。結局誰かがやんないとなのにもめるの面倒だろ」
「さすがです、真昼様!」
真昼の言葉に桜哉が合いの手を入れて。
「でも真昼様。お一人じゃあ大変なこともあるでしょう? 幼馴染として手伝いましょうか? 針に糸も通せませんが」
「逆にめんどくさい、一人でいい」
その後に続いた案を真昼が却下すると、また桜哉は逡巡するような面持ちになり。
「真昼さー衣装の布とか糸って駅前で買うの?」
「え? うん」
桜哉から投げかけられた問いに、そうなるかなと真昼が頷き返すと。
「気を付けろよ! 最近あの辺り・・・吸血鬼が出る・・・って噂があるんだ」
ビシッと指を立てながら、さらにニヤッと笑みを浮かべた桜哉の口から唐突に聞かされる事となった噂話に『はぁ?』と真昼達は呆れたような表情を浮かべるが。瑠璃は思わず目を見開き、桜哉の顔を見つめてしまう。
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マユ(プロフ) - ルルさん» とても嬉しいコメント、有難う御座います! 現在、最新シリーズでは原作の二巻をベースに執筆中な為。傲慢組や強欲組の登場はまだ先になってしまうと思うのですが・・・。私も彼らとの話は書きたいと思っているので・・・。気長にお付き合い頂けたら幸いです! (2018年4月27日 22時) (レス) id: 6997652f0b (このIDを非表示/違反報告)
ルル(プロフ) - すごく面白かったです!傲慢組や強欲組との絡みもどうなるか気になりました! (2018年4月27日 20時) (レス) id: f9398f263f (このIDを非表示/違反報告)
マユ(プロフ) - AAAさん» こちらこそ、ご丁寧に有難う御座います。 (2018年2月20日 23時) (レス) id: 6997652f0b (このIDを非表示/違反報告)
AAA - 返信ありがとうございます! (2018年2月20日 22時) (レス) id: ad871f5681 (このIDを非表示/違反報告)
マユ(プロフ) - AAAさん» AAAさん、コメント有難う御座います!面白いと仰って頂けてすごく嬉しいです! シリーズはパート4まで掲載中です♪続編を見るから、次のシリーズに飛べますのでどうぞよろしくお願い致します! (2018年1月15日 21時) (レス) id: 6997652f0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朱臣繭子 | 作成日時:2017年5月21日 21時