第一章『誓約と契約』【4】 ページ29
「・・・―――――瑠璃・・・?」
口の中に広がる覚えのある血の味に、呆然とこちらを見てきたスリーピーアッシュに、瑠璃は頷く。
「・・・うん。良かった元に戻ったみたいで」
次いで、足元から意識を取り戻したらしい手品師のチッと言う舌打ちが微かに聞こえてきて、
「・・・くそがァ!! くそが、くそが、くそがァァ!! お客様この列車の行き先はご存知ですかァ!? 楽しい楽しい地獄行き。
絶叫しながらそう叫ぶと、がはっと血反吐を吐いてしまう。
「・・・今日のショーはここまでッ」
それから、ごほっとまた血反吐をさらに吐くと、最後の力を振り絞るように締めの言葉を言ってシルクハットを自身の頭にかぶせると―――――煙と共に手品師の姿は消え、変わりにそこには小さな手品師のぬいぐるみが転がっていたのだ。
「な・・・!?」
それを見た真昼は絶句し、呆然とそのぬいぐるみを見つめる。
「・・・ずいぶんと可愛らしい姿に変わったわね」
そっと、瑠璃がぬいぐるみを抱き上げると、
「死んだ・・・の・・・?」
真昼が恐る恐るぬいぐるみの顔を覗き込む。
「あはははははァッ。死なないよォ、吸血鬼だもん!!」
途端、笑い声を上げ、しゃべったぬいぐるみに、驚いた真昼はびくっと体を震わせてしまう。
バーカ、バーカ、と小馬鹿にするように笑い続けるぬいぐるみを黙らせたのは、スリーピーアッシュだった。
「おらCM明けだぞ。クイズの答えは」
漆黒の鉤爪がぬいぐるみのシルクハットを突き刺して、瑠璃の腕の中から取り上げたぬいぐるみを、ぶらぶらと空中で揺らす。
「あァ〜〜〜やめてよォ。ゆらさないでよォ」
帽子取れちゃうよォ〜とぬいぐるみは悲鳴を上げると、
「椿がキミを嫌う理由はァ・・・もォわかってるでしょォ? キミがこのクイズに答えられないってことが答えだよォ?」
「・・・・・・?」
スリーピーアッシュは聞かされた答えに眉を顰める。
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マユ(プロフ) - ルルさん» とても嬉しいコメント、有難う御座います! 現在、最新シリーズでは原作の二巻をベースに執筆中な為。傲慢組や強欲組の登場はまだ先になってしまうと思うのですが・・・。私も彼らとの話は書きたいと思っているので・・・。気長にお付き合い頂けたら幸いです! (2018年4月27日 22時) (レス) id: 6997652f0b (このIDを非表示/違反報告)
ルル(プロフ) - すごく面白かったです!傲慢組や強欲組との絡みもどうなるか気になりました! (2018年4月27日 20時) (レス) id: f9398f263f (このIDを非表示/違反報告)
マユ(プロフ) - AAAさん» こちらこそ、ご丁寧に有難う御座います。 (2018年2月20日 23時) (レス) id: 6997652f0b (このIDを非表示/違反報告)
AAA - 返信ありがとうございます! (2018年2月20日 22時) (レス) id: ad871f5681 (このIDを非表示/違反報告)
マユ(プロフ) - AAAさん» AAAさん、コメント有難う御座います!面白いと仰って頂けてすごく嬉しいです! シリーズはパート4まで掲載中です♪続編を見るから、次のシリーズに飛べますのでどうぞよろしくお願い致します! (2018年1月15日 21時) (レス) id: 6997652f0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朱臣繭子 | 作成日時:2017年5月21日 21時