Precious Love

4. ページ5

.




夢を、見ていた。


彼が私に向かって微笑みかける夢。




幸せで、フワフワとした浮遊感を感じた。



.



朝の目覚めは、いつもと変わらない。

良くもなく、悪くもなく、ただ少しだけ憂鬱









「昨日見に行ったんでしょ？どうだったの？」









普段は仕事でいないお母さんが、今日は珍しくのんびりしてて。


今日は休みなんだ、と悟る。









「…うん、」









お母さんの どうだった？ の意味はきっと彼でしかないから



だから、何も言えない。









「うん、ってなによ？」

「…いや、なんか」

「かっこよかった？」

「…まぁ、そりゃあ…ジャニーズだもん」

「じゃあなに？」

「なんか、……」









“遠くなったなぁって、”



自分で口に出しといて、自分で傷つく。


胸が、ズキンってまた一つ傷が増えて。




自業自得かよ、って









「…さみしい？」

「………そうかも」

「なら、会いに行けばいいじゃない」









サラッと言うけど。


前みたいに簡単に会えるほど、距離が近いわけじゃないから









「…もう、無理だよ」

「なにいってんの、連絡すればすぐ会えるんだしお母さんも今日エリちゃんと会ってくるのに」

「……相変わらず仲良しだね」









私と彼とは違って、

お母さんと彼のお母さんは頻繁に会っている。




同性だから、とか

そんなのは多分関係ない。









「美優紀」

「なに？」

「…距離なんて、感じなくていいんだから」

「……うん」

「会いたい時に、会いたいって言ったり、自分の気持ちに素直でいないと後悔するからね」









なんか私いいこと言った？


そう付け足したお母さんはどこか嬉しそうに笑った。


.




彼に対する想いが、
幼馴染みじゃないとしても




彼に会いたいと言うことは、


許されますか？

5.→←3.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す