Precious Love

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パって、その声に反応して振り向けば。



マスクして帽子をかぶる彼の姿。

いくら顔の半分が隠れていたって、かっこよさは隠せてないし



何より、その低い声が。




私の好きなその声が。









「美優紀」









耳に届いた時、

堪えていた涙が溢れた。









「…しょ、…り」









私が彼の名を小さく呼べば、

それに気づいた男が何か言って逃げていって。



さっきまで引っ張られていた腕も、引き寄せられた腰も、踏ん張っていた足も、

一気に力が抜けて座り込む。






止まらない涙は、恐怖じゃなくて。






彼が、目の前にいる安心感。



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「…もう大丈夫だから」


「俺がいるよ」


「だから、泣かないで」









聞きなれたその言葉に、
とめどなく溢れる涙を制御なんてできない。



小さい時から、泣き虫な私が泣いていると

私を抱きしめながら




彼はいつも、

そう言って私を安心させてくれた。


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「美優紀…」









ぎゅって、優しく私を引き寄せて

その腕の中に閉じ込める。



そういえば、最後に彼と会った時もこんなふうに泣いてる私を抱き締めてくれたなって。



思い出してまた、彼の肩に雫が落ちる。









「…………会いたかった」




「ずっと、こうして、」








＿＿＿＿＿抱き締めたかった

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