オレンジ色の太陽

# ページ2

涼介side


ライブのダンスリハーサルが終わり、
帰り支度をしていたときだった。


大貴「お疲れ〜！」


リハ終わりだっていうのに、大ちゃんはいつものテンションで俺の背中を叩く。


俺「うるせーよ！笑」


俺の言葉など聞こえてないかのように、
他のメンバーのところへも構いに行く。



大ちゃんは、昔からずっとこんな感じ。

顔や体型からしても、ずっと変わっていない。

でも、そんな大ちゃんがいたから、
俺たちは６年やってこれたわけだし。

口には出さないけど、
大ちゃんには感謝してる。



宏太「明日は５分遅れるなよ」

大貴「はいはい」


ちょうど大ちゃんが薮ちゃんと、会話をして、全員が帰り支度を始めたときだった。



「…うっ」



聞き慣れた声が、おかしな声をあげた。


全員が一斉に声の主の方へ顔を向ける。


声の主は口を手で押さえ、膝から崩れ落ちた。


手の隙間から、赤い液体が溢れていた。



宏太「…大ちゃん！」

光「…おい！」


薮ちゃんとヒカの呼び掛けにも、
返すことなく大ちゃんはそのまま倒れた。



宏太「…お、おい！きゅ、救急車！」


薮ちゃんの声にメンバーが一斉に動き出した。


圭人とゆーてぃーは立ち止まったまま。



慧「…もしもし。はい、はい。友人が倒れました。はい、お願いします」
　
伊野尾ちゃんは救急車に連絡をしている。


光「俺、マネージャー呼んでくる」


侑李「…大ちゃん」

知念は、大ちゃんの手や口元を拭いている。



雄也「光くん、俺も行く」


宏太「山田、圭人と裕翔落ち着かせてやれ」


俺「う、うん」


俺は圭人とゆーてぃーのそばに行き、
２人を椅子に座らせた。


落ち着きもしないうちに、救急車が到着して、
大ちゃんは慌ただしく運ばれて行った。


宏太「俺らも行こう」


マネ「車出しますね」


光「圭人と裕翔、歩ける？」


２人は静かに頷いて、ヒカと一緒に車に乗った。


そのあとメンバー全員が車に乗り、
彼の無事を祈った。


いつも、こういう重たい雰囲気の時、
場を和ませるのは大ちゃんだった。


でも、今は居ない。


また、俺たちは大ちゃんの太陽みたいな笑顔を
見ることは出来るのだろうか。



この日は、そんな大ちゃんの笑顔とは裏腹に
春の肌寒い雨だった。

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