またこの場所で

優しいライバル ページ21

裕翔side



体育祭まで、あと３日。



俺は４人で出る選抜リレーのアンカーだった。



俺は何も気にしていなかった。



誰と走るとか、誰が速いとか、遅いとか。



４人でいい思い出になればなと思っただけで、
特にそういう競争心はなかった。



今日、１年生で選抜リレーの練習をしたとき、

はっきりいって俺が１位になるなと勝手に思い込んでいた。



けど、俺より速い奴がいた。
　


『有岡大貴』



卓球部だけど、部活は足の速さにあまり関係ないんだよね男子は。



彼こそヤマと同じくらいの身長だけど、

知念みたいに？でも、速かった。



練習が終わったあと彼に話しかけてみた。

　

俺「あの〜、有岡くんだよね？」



大貴「うん、」

　

俺「足、速いんだね」



大貴「そんなことないよ」



俺の言うことを優しく否定する有岡くん。



俺「あ、俺中島裕翔。」



大貴「有岡大貴。お互い頑張ろうね、裕翔」



いきなり呼び捨てかい！



でも、それが彼の魅力だと思った。



俺「う、うん。だ、大ちゃん！」



俺が言うと、大ちゃんは口を開けて笑った。



大貴「あはは！山田と知念以来だわ、大ちゃんって呼ぶの！笑」



俺「え？知り合いなの？」



大貴「うん、本当は１個年上なんだけどね。
病気しちゃって、
山田と知念とは中学が一緒だったんだ」



１個年上なんだ。わからなかった。



俺「そうなんだ。」



大貴「だから、裕翔の話、よく聞くんだ。山田から」



俺「そっか、じゃぁ、よろしく」



大貴「うん、よろしく」



そう言うと大ちゃんは、友達の方へ駆けていった。



あんな、優しい人に勝てるのかな？俺。



でも、勝たなきゃ。
　


３人が繋いでくれるバトンだもん。



絶対大丈夫。



俺は、この秋晴れの空を見上げて、誓った。

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