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道行く人からの視線が痛い。そんな上から下まで品定めするみたいに見ないでほしい、私だって彰良さんに釣り合わないことくらい流石にわかってる。なんでこいつが？みたいな視線が一番グサッとくるので早急にやめてほしい。
「デートって、男女が待ち合わせて出かけることを指し示すんだけれど、【恋い慕う相手と日時を定めて会うこと】という定義もあるんだよ。今日のデートはどっちの意味？」
「前者で」
「ほんとにそう？」
「…後者です、分かってるなら言わせないでください」
そもそもそれなりに好意がなければデートなんか誘いませんよ、と小さく呟く。ごくごく普通に生きてきた身ではないので、こうやってデートしたりするのが普通なのかは分からないけど。
「日頃お世話になってるし、深町くん以外で遊びに行けるような友人がいないので」
「もっと友達作ったらいいのに、現世に思い入れを強めておくのも大事だよ」
「瑠衣子先輩と深町くん、彰良さんに健ちゃんさん、ゼミの先輩たち。私の人間関係はこれくらいで十分です。むしろ恵まれてるくらい」
学部も年齢も性別も、職業も全部ごちゃごちゃなのに居心地のいい人達に恵まれている。これってかなり幸せなことなんじゃない？
最寄り駅まで歩いて、電車を二本乗り継げばあっという間に着いてしまった水族館。受付の人にペアチケットを渡せば、ご家族ですか？と聞かれた。そこはせめて彼氏さんですか？って聞いてほしかった。ワガママだけど。
「ふふ、家族だって。僕も年相応に見られてきたってことかな！」
「私がちんちくりんなだけですよ、たぶん」
かばんにチケットを閉まって、彰良さんの左手をとる。さっきまで普通に手を繋いでいたのに、急に指を絡められて体がぴくりと反応する。大人しく指を絡めれば、満足そうに微笑む彰良さんの横顔。
このままじゃ本当に勘違いしそうになっちゃう、危なすぎる。彰良さんってデートになったらこんなに距離近いの？過去の女性遍歴を聞いたことがないのでわからないけど、胸の奥が少しチリっとするような感覚。
それでも、今は私が独り占めできてるんだなっていう気持ちの方が大きくて、頬が緩む。
「楽しそうだね、Aさん」
「彰良さんのこと、独り占めできてるみたいでいいなって」
「…Aさんは随分と可愛らしいことを言うね。照れちゃうな」
普段みたいに流してくれない。これはこれでちょっと恥ずかしい。照れ笑いする彰良さんも好きだけど！
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ちくわ。(プロフ) - かふぇもかさん» コメントありがとうございます！不定期更新なのでお話をコンスタントにお届けすることが難しいのですが、今後ともこの作品をよろしくお願いいたします！ (2021年8月24日 20時) (
レス) id: eb81f6bdc7 (このIDを非表示/違反報告)
かふぇもか(プロフ) - こんにちは^ - ^いつも楽しく読ませていただいてます！(?)このお話毎日読み返してニヤニヤしてます(( (2021年8月22日 18時) (レス) id: 586d3de0ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちくわ。 | 作者ホームページ：https://twitter.com/pipipi__dream
作成日時：2021年8月9日 0時
