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無事酒井村の鬼伝説も解決してから数日。まだ怪我は完治していないみたいで、高槻先生が額に大きめの絆創膏を貼っていた。
「高槻先生、無事に帰ってくるって約束したのになんで怪我作って帰ってきてるんですか、馬鹿なんですか」
「柊さん、ごめんね。柊さんにも迷惑かけちゃったね」
そんな優しい声でごめんねなんて言われたら、許さざるを得ない。なんだか叱られたあとの大型犬のような風貌だ。かわいい。
「怪異に首突っ込むのはいいんですけど、怪我とかしないでください。先生、いつの日かパッとどこかに行ってしまいそうで、怖くて」
時折見せる、吸い込まれてしまうような、どこか違う世界にいるような、不思議な瞳の色をした高槻先生。いつの間にか、目の前から消えてしまうような気がして怖い。
「僕はどこにも行かないよ、安心して」
目をしっかりとみて、そっとハグされた。イギリス留学してたからなのか、先生の距離感がおかしいことくらい分かっていたけど、今日は過去一バグってる気がしてならない。
「あはは、柊さん顔真っ赤」
「どう考えても先生のせいですよね?!しかもこれパッと見セクハラですよ」
「セクハラじゃなくて、ボディーランゲージだよ？」
楽しそうに笑う高槻先生。自分のゼミだからって好き勝手して…。ふんわり広がる先生の香水の匂いに頭がくらみそうになる。
「せんせ、ギブ」
「まだもうちょっと、こうしてたいって言うのはセクハラになる？」
あと10秒だけなら、と小声で呟けばありがとうと返答が。もしかして私明日死ぬ？
「ほんとに先生どうしちゃったんですか」
「健ちゃんからも、深町くんからも、柊さんが僕のことをすごく心配していて泣きそうだったって聞いたから、ごめんねの気持ちを込めて」
「次回からは違う形でお願いします、そのうち私の心臓壊れちゃうので」
考えておくねと返された。唐突な先生からのアクションにびっくり。これくらい距離が近かったのは、たぶん、初めてあった時のおんぶ以来だと思う。
当時、先生が私をおんぶしてるストーリーがあちこちで上がったりして色々言われたりしたのは覚えている。…先生のご実家からいらした、ちょっとイヤミな社長秘書のことも。
チクチクと刺すように、それでも間接的に伝えられた、先生に近づくなというニュアンスの言葉。でも、先生を好きにならない選択肢も諦めるつもりもなくて、未だに拗らせ続けているのが現実。
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ちくわ。(プロフ) - かふぇもかさん» コメントありがとうございます！不定期更新なのでお話をコンスタントにお届けすることが難しいのですが、今後ともこの作品をよろしくお願いいたします！ (2021年8月24日 20時) (
レス) id: eb81f6bdc7 (このIDを非表示/違反報告)
かふぇもか(プロフ) - こんにちは^ - ^いつも楽しく読ませていただいてます！(?)このお話毎日読み返してニヤニヤしてます(( (2021年8月22日 18時) (レス) id: 586d3de0ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちくわ。 | 作者ホームページ：https://twitter.com/pipipi__dream
作成日時：2021年8月9日 0時
