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難波くんは彼女さんたちとバズった動画、例の鬼の呪いの動画がきっかけでここまで足を伸ばしてきたみたい。俗に言う聖地巡礼というやつ?若い子の行動力ってすごいな。
「若い子のエネルギーすごいね」
「先輩も難波も、歳変わんないですよ」
「そうよ、Aちゃんも十分若い子の括りに入るからね!」
そうかもしれないけど、と不満げに呟けば笑われた。気持ちの問題だよ、気持ちの!精神論とかあんまり好きじゃないけど、若い子のきらきらした気持ちと私の疲れた気持ちは大きく異なると思う。
「深町くんもお友達いるみたいで安心した」
「別に、そんなんじゃないですよ」
「またそういうこと言う」
どうやら、鬼頭さんが酒井村に言い伝えられる鬼の呪いについて教えてくれるみたい。だいぶ年季の入った日本家屋。かまどとか、猟銃とか、絵本で見たような毛皮の絨毯とか。
古い集落だということは知っていたけれど、まるで日本昔ばなしのセットみたいな家で驚いた。山村さんが話すには、鬼頭さんの家は金貸しをしていて、昔は【人喰い】なんて呼ばれていた。
人喰い、まるで鬼の伝承に合わせたかのような通り名。そうそう、鬼頭さんの実子が正臣さんという方で、どうやら仕事が忙しくて東京に出ずっぱりでこちらに帰ってくることがないみたい。
奥さんが他界した鬼頭さんを気遣ってか、東京で一緒に住むわけでもなく、息子さんと美和子さん、鬼頭さんで三人暮らしをしていると言っていた。
美和子さんから酒井村に言い伝えられる鬼の呪いの話も聞いた。掻い摘んで言うと、村にやってきた鬼をもてなして、殺した。鬼が生き返るのではと恐れて、鬼の首を洞窟に祀り、自身は【鬼頭】の姓を名乗ったと。
鬼神様を祀ってからは、順調に事が進んだらしく、その財産を他人に貸し与えたことで村が発展したと言われている、らしい。
【人喰い】と呼ばれた所以は、お金の返せなかった住民からの恨みだと推測されてるみたいで、実際に人を食べていたことではないと知った先生の『人をバリバリ食べてなかったのが残念』という大失言に気を揉んだ。
高槻先生、もうすぐアラサーどころかアラフォーになるのに、怪異が絡むとこんなにポンコツになるの、どう考えてもバグでしかないと思う。もしかして顔が良すぎてその他諸々がバグった?
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ちくわ。(プロフ) - かふぇもかさん» コメントありがとうございます!不定期更新なのでお話をコンスタントにお届けすることが難しいのですが、今後ともこの作品をよろしくお願いいたします! (2021年8月24日 20時) (レス) id: eb81f6bdc7 (このIDを非表示/違反報告)
かふぇもか(プロフ) - こんにちは^ - ^いつも楽しく読ませていただいてます!(?)このお話毎日読み返してニヤニヤしてます(( (2021年8月22日 18時) (レス) id: 586d3de0ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちくわ。 | 作者ホームページ:https://twitter.com/pipipi__dream
作成日時:2021年8月9日 0時