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「柊さん、おうちどこだっけ？夜遅いし送ってくよ」
「いやダメです、さすがに家は」
ゼミ生でもないのに研究室に入り浸らせてもらって、挙句、ここまで良くしてもらって、なんだか少し申し訳ない。恐らくないだろうけれど、高槻先生が誤解を招くようなことはしたくない。烏滸がましすぎるけど。
「じゃあ聞くけど、この前男の子に絡まれてたのは誰？」
「…私です」
痛いところを突かれる。だってあのときは抵抗しようがなかったって言うか、なんというか…。偶然の巡り合わせだったからノーカンみたいなものでは、なんて言い訳を頭の中に並べる。
「春先は変質者が増える傾向にあるんだよ？柊さんは僕の生徒だし、学内でも学外でもそうだけど、危ない目にはあってほしくない」
「…はい」
もっと自分を大切にしなさいと去年からしょっちゅう、口酸っぱく言われていたのを思い出す。高槻先生はずっと言っている気がする、去年倒れたときからずっと。
「でも、いいんですか？すごく烏滸がましいこと言うんですけど、私のせいで先生に誤解を招くようなことがあったら私切腹しますよ」
「あはは、切腹って。柊さんが想像してるようなことはたぶん大丈夫、なんとかなるよ」
なんとかって…。恐らくご実家のお父様が揉み消すってことだと思う。先生の家、そういうのはすぐ記事になる前に揉み消してるとかなんとか。健ちゃんさんから遠回しに聞いたことがある。
「ここまでで大丈夫です、もう曲がったらすぐなので。今日はありがとうございました、夢みたいで…ほんとに楽しかったです」
「そっか。あ、柊さん、ちゃんとおうち着いたら連絡してね」
約束だからねと念を押された。友人の少ない人間なので、スマートフォンに入っているよく使う連絡先は深町くんとゼミの先輩、瑠衣子先輩くらいで。
徒歩数分の距離で、同じ講義をとる学生のグループチャットの通知に埋もれてしまった高槻先生の連絡先を探す。
お気に入り登録するのもなんだか恥ずかしくて、未だに埋まりがちな先生の連絡先。遡ってみても、大抵は事務事項とちょっとした会話くらい。
今日のことは夢だったのでは。まだ頭がふわふわしてる。玄関の鍵を締めながら、先生に着きましたよと送信。
すぐに既読が着いて、よかったとメッセージ。次はちゃんと水族館行こうねと可愛いお魚のスタンプと共に送られてきて思わず頬が緩む。やっぱり高槻先生って好きにならざるを得ないと思う。
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ちくわ。(プロフ) - かふぇもかさん» コメントありがとうございます！不定期更新なのでお話をコンスタントにお届けすることが難しいのですが、今後ともこの作品をよろしくお願いいたします！ (2021年8月24日 20時) (
レス) id: eb81f6bdc7 (このIDを非表示/違反報告)
かふぇもか(プロフ) - こんにちは^ - ^いつも楽しく読ませていただいてます！(?)このお話毎日読み返してニヤニヤしてます(( (2021年8月22日 18時) (レス) id: 586d3de0ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちくわ。 | 作者ホームページ：https://twitter.com/pipipi__dream
作成日時：2021年8月9日 0時
