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普段は楽しいはずのアルバイトも昨日に限って身が入らなくて。自炊して作った晩御飯も一切喉を通らなかった。そのまま忘れて寝ようとしたけど、やっぱり寝れなくて。
新調した可愛いセットアップも、この日の為にと買った少しお値段高めのデパコスも、今日は見たくもないや。
先生のお家柄からしたら私なんて虫けら同然。今先生が実家とどうこうしてるのかとかは興味が無いから聞いてもないけど。
先生と生徒、貴族と平民、所謂現代版ロミジュリ。ましてや設定増し増しオプション付きの恋なんて、不毛なことくらい私が一番わかってる。…だからこそ、最初で最後のデートにしようと思ってたのに。
鏡に映った私はびっくりするくらい酷い顔。さすがに身だしなみはちゃんとしないと。スマートフォンの通知欄に表示された、『デート♡』とかいう浮かれた表記。私だけ浮かれて落ち込んで、ばかみたい。
今日の授業は午前だけだし、午後は研究室に籠ろう。
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午前の授業が終わったので研究室に行こうと思ったのだけど。目の前の光景が信じられなくてびっくりしている。夢かと思って頬を抓ってみたけどじんわりと痛みが広がるだけだった。
だって、あの深町くんが女の子に話しかけてるんだよ!?もしかしてナンパしてるの?それだとしたら明日槍でも降るんじゃないかな。あれ、あの女の子…えーっと、山崎綾音さん。
深町くんに気付かれないように見守ってみる。たぶん先生の頼みか何かで話を聞き出そうとしてるんでしょ。いや、にしても深町くんぎこちなさすぎないか。仕方ない、助け舟でも出してあげよう。
「深町くん!なにしてんの?」
「A先輩、俺今取り込んでて」
「あ!柊先輩と…、福田じゃない、伏木、じゃなくて…」
丁重にお断りされるかと思ったけど、深町くんの友人(仮)のお陰でなんとかなった。ありがとう、深町くんの友人(仮)!
「急に割り込んじゃってごめんね、柊です。占いの人、って言ったら伝わるかな」
「あの、よく当たるって噂の?」
学年一の有名人に知られてることに驚き。よく当たるっていうか…。適当に濁して返事をする。
「せっかくだしよかったら占うよ!」
「いいんですか?」
勿論と言いながら彼女の手を取ると、脳裏に流れる彼女の未来。普段の練習風景、家庭環境、大学生活、…彼女が私物に針を仕込むところも、本音を吐露している所も見えた。どうやら私は見てはいけないものを見てしまったみたい。
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ちくわ。(プロフ) - かふぇもかさん» コメントありがとうございます!不定期更新なのでお話をコンスタントにお届けすることが難しいのですが、今後ともこの作品をよろしくお願いいたします! (2021年8月24日 20時) (レス) id: eb81f6bdc7 (このIDを非表示/違反報告)
かふぇもか(プロフ) - こんにちは^ - ^いつも楽しく読ませていただいてます!(?)このお話毎日読み返してニヤニヤしてます(( (2021年8月22日 18時) (レス) id: 586d3de0ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちくわ。 | 作者ホームページ:https://twitter.com/pipipi__dream
作成日時:2021年8月9日 0時