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「大人たちは、自分が持っていない能力を持った年下の人間を嫌うから」
実験もレポートも片付いたので、高槻先生の研究室に遊びに行こうとドアノブに手をかけたのだけれど、こんな声が聞こえてしまったので思わず足を踏み入れるのを躊躇してしまった。高槻先生と誰がいるなんて容易に想像がつく。深町くんだろう。
「…嘘を聞くと、声が歪むんです」
音が出ないようにドアノブから手を離そうとしたとき、聞こえてきた深町くんの言葉。これ以上はダメだと思って、自分の研究室に引き返す。
「嘘を見抜いてしまう人間なんて、誰もそばにいてほしいと思わない。…友達も、親もです」
この前ふと高槻先生に触れてしまったせいで見えてしまった光景。ほんとにこの能力、プライベートもくそもあったもんじゃないな。今頃どうせ熱い抱擁でもしてるんだ、本物の怪異だね、って。…1年前と同じように。
一人暮らしがしたかったただけという言葉も、友達がいない理由も、私とはまるっきり違うけれど、深町くん自身の話を聞いてみたいなと素直に思った。
盗み聞きするつもりも、過去を詮索するつもりもなかったけれど、彼とは何かと長い付き合いになりそうだから一度ちゃんと話をしておきたい。
《話したいことがあります》と打ち込んでは消し、消しては打ち込みを繰り返し、目をつぶって送信した。こんなに緊張してメッセージを送るのは初めてかも。
意外と早く既読がついて焦ったけど、とりあえず授業終わりに近くのカフェにて落ち合うことにした。
・
「ごめん深町くん、待たせちゃって」
「俺も今来たとこなんで大丈夫です」
統計学の授業、最後に小テストがあって少し遅れちゃった。先にコーヒーを頼んでいたみたいで、私も同じものを頼む。
「いきなり本題に入るんだけど、今日先生と話してたこと、全部見えてた。ごめんね。…前々から何となく深町くんのそれには気付いてたんだけど、言うべきか迷っちゃって」
「俺のことは別に気にしないでください、先輩もきっと、大変な思いしてきてるので」
気にするどころか私の心配してる深町くん。きっと深町くんも辛い思いしてるのに、その優しさに思わず涙がこぼれる。
「…先輩？大丈夫ですか？泣いてますけど、」
「これは深町くんが優しすぎるのが悪い！…もう全部話すね、私のコレも、今まであったことも」
私自身の過去のことについて話すのはこれで二度目。一口コーヒーを飲んでから、少しずつ話すことにしよう。
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ちくわ。(プロフ) - かふぇもかさん» コメントありがとうございます！不定期更新なのでお話をコンスタントにお届けすることが難しいのですが、今後ともこの作品をよろしくお願いいたします！ (2021年8月24日 20時) (
レス) id: eb81f6bdc7 (このIDを非表示/違反報告)
かふぇもか(プロフ) - こんにちは^ - ^いつも楽しく読ませていただいてます！(?)このお話毎日読み返してニヤニヤしてます(( (2021年8月22日 18時) (レス) id: 586d3de0ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちくわ。 | 作者ホームページ：https://twitter.com/pipipi__dream
作成日時：2021年8月9日 0時
