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「子供たちが安心できるよう、よろしくお願いします」


深々と頭を下げた平原さん。…若くて小学校の先生やってて、色々苦労してるだろうに、ひたむきで真っ直ぐなその姿勢が素敵だなと思う。


「…こんなことがあるまではこのクラスはみんな友達思いのいい子で、一体感があったんです」


隣で深町くんがあの時みたいに顔を顰める。…もしかして、さっきの発言が嘘だった、のかな。


「深町くん、大丈夫?」
「えぁ、まぁ、はい」


大丈夫じゃないでしょ、もっと先輩なんだから頼ってくれてもいいよ、とまでは言えなかった。抱えてるものって人によって違うから。あと軽率な発言は控えるべきと、19年間の人生で悟った。





「あら、彰良ちゃんにAちゃん!いらっしゃい!」
「こんばんは!健ちゃんさんのお母さん。いつもお世話になってます」


佐々倉古書店。高槻先生の幼馴染こと、健ちゃんさんのご実家。健ちゃんさんはちょっと強面で、最初は私も怖いなって思ってたけど全然違う、可愛い先生の幼馴染だ。


古本のこの匂い。たまらん。私自身、理系学部で一切民俗学も史学も扱うことがないけれど、こうやって知らない文献に触れる時間は割とすき。たまに学校終わりに立ち寄ったりすることもある。あと単に健ちゃんさんのお母さんのご飯が好き。


「……俺は、親と離れて一人暮らしがしたかったただけなので」


あんまり盗み聞きする主義はないけど、ふと聞こえてしまった深町くんの言葉。彼の人生に何があったのかなんて聞くのは無粋。私だって詮索されたくないしね。…過去のことにこだわるのは性にあわない。こんな能力持っちゃった時点で過去にこだわった時点で負けだ。


気を紛らわせるために適当に手に取った八岐大蛇伝説についての本だったけど、これすっごく面白い。


「健ちゃんさんのお母さん、これの関連の本ってありますか?」
「あるわよ、後で持ってく?よければご飯でもどう?二人は上で何かやってるみたいだし…」
「ぜひ!ご飯楽しみです」


たぶん、二人でコックリさんでもしてるはず。私の記憶が正しければ。コックリさんのカラクリに関してもそうだけど、大抵の事象に関しては科学的に分析されているものが多い。


それでも、科学的に解明できないことがあって。私の未来が見える能力とか、深町くんの嘘がわかる能力とか。事象として説明できないこと、それこそ怪異だと、私は勝手に思っている。

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ちくわ。(プロフ) - かふぇもかさん» コメントありがとうございます!不定期更新なのでお話をコンスタントにお届けすることが難しいのですが、今後ともこの作品をよろしくお願いいたします! (2021年8月24日 20時) (レス) id: eb81f6bdc7 (このIDを非表示/違反報告)
かふぇもか(プロフ) - こんにちは^ - ^いつも楽しく読ませていただいてます!(?)このお話毎日読み返してニヤニヤしてます(( (2021年8月22日 18時) (レス) id: 586d3de0ac (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ちくわ。 | 作者ホームページ:https://twitter.com/pipipi__dream  
作成日時:2021年8月9日 0時

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