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冷side
織「見習いに行くの許可が取れたぞ。」
…え?ちょっと待ってドユコト?
「見習いって僕?確かに薄幸の本丸に合法的に行く手段はそれしか無いけど…申請出してないよ?」
織「俺が出しておいた。」
先生…有能過ぎ。何で此の人があんな事で死なないといけなかったんだ首領の馬鹿野郎。
「因みに僕は冬夜として行くの?其れとも」
織「否。久作と二人で…双子として行ってもらう。無論変装や霊力を抑える為の術具は着ける事になるが…。」
ヘェ…面白そう。
「で、何時から?」
織「一週間後だ。薄幸が顕現されたのは一昨日だろう、余り早いと疑われるからな。」
…仕方ない、か。
「何で山姥切がこんな目に遭わないといけないんだろ…。何で…人間なんて…」
僕達の同胞を斬って…救ってくれたのは彼の子だった。誇り高きリューンの民が人と交わった事で本当の鬼と成った憐れな子の魂を解放してくれた優しい刀。
…僕は、何も出来なかった。同胞が自分への生贄にされようとしている事を止めるのも、彼の子が…彼女の子孫が堕ちようとしているのを止めるのも、魂を救う事も…殺す事も。
「救って、くれたんだよ。僕達の問題なのに…彼の刀は…僕の頼みを聴いてくれた。」
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「…何も関係の無い貴方に、僕達の問題を押し付けるのは厚かましいと解ってる。でも…お願い、彼の子を…我が同胞の魂を…どうか…」
長義「顔を上げて下さい、鬼神様。格下の付喪神…而も未だ号も無い俺に頼むという事は、其れだけ事態が急迫しているという事でしょう。…其の頼み、確かに承りました。」
「…最悪の場合、折れるかも知れないのだぞ?」
長義「鬼神様が守って下さるのでしょう?」
「…済まない…。」
長義「いいえ。…此の里を…人の子を守る為に折れるのなら、其れは生涯の誇りというものでしょう。」
「…加護を。其方の刃生が愛に満ちたものであるように。鬼の血で穢れ、業を負う事の無いように。…理不尽に折れる事の無いように。私が、其方を守ろう。…其方の号は山姥切。これからは山姥切長義と名乗るが良い。」
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彼に付けた加護。彼が山姥切長義である限り、誰も彼を害する事が出来ない…筈だった。
「真逆、山姥切の存在が揺らぐとはね…。其せいで僕の加護も薄れてしまっているし。」
まあだからといって国広の方に加護が付く訳では無いんだけど。
「如何してくれようか…。」
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作者名:マツリ | 作成日時:2019年3月24日 23時