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参拾漆話 ページ39

裏技。

政府の人に怒られてしまう、裏技。


怒られるのは嫌だ。

でもそれで治せるなら構わない。




『ご教授お願いします』


「分かった。
向こうに着いてから話すよ。

抱き上げるけど、ちょっとだけ我慢してね」




そう言った髭切さんは、机に伏せていた私を軽く(世の女性が羨む)姫抱きで持ち上げた。


すごく軽そうに持ち上げ、
風のように走っていらっしゃるけれど、

私は最近体重が増えたばかりの身だ。



…こんなことなら買い食いなんてするんじゃなかった…

新作コンビニスイーツなんか…食べるんじゃなかった…

ポテチ…我慢しておけば…よかった…




「そんなに心配しなくても、僕が心配になるくらい重くないから平気だよ」


『…救われました、ありがとうございます』


「今度僕もその美味しそうなもの、食べてみたいな」


『…一時帰宅の時に持ってきます』


「ありがとう」




こんなに近くで見るともうとんでもないくらいとんでもない。

もうとんでもない。

ただでさえとんでもなかったのにこの笑顔はダイナマイトだ。




「そんなに褒めてもらえると照れちゃうなあ」




頼むから鍵かけて口…!これ以上喋らないでお願い。




「いや、喋ってなかったよ。
素直な表情だね」


『打つ手無し…』




夜風は心地良く私達の横を通る。

あまり時間をかけない内に離の前に到着した。


髭切さんの足はとても速かった。
さすが男性、それでも息は乱れていない。




「さて、ちょっと僕らの説明をするね」


『はい』




鶯丸さんは屋根の下に居た。
きっと加州さん達が移動させてくれていたのだろう。

息はあった。




「僕らは君のあの二振りの刀剣男士とは違う、少し特殊な刀でね

使ってはいけない力を持っているんだ」


『使ってはいけない?』


「そう」




髭切さんは私をゆっくり降ろした。
髭切さんもしゃがみ込む。




「負の感情を持ち過ぎて、黒い力に溺れた。
禁忌の一つなんだけど、僕らは抗えなかった。

禁忌を犯した僕らはもう、普通の方法じゃ治らない。


使ってはいけない力を使って治すなら話は別だけどね」





髭切さんは私の手を指差した。

笑っているけれど笑っていない。

今の髭切さんは、優しくない方の髭切さんだと思う。




「単刀直入に言うよ

僕と、血の契約を結んで」


『えっ!?』




彼は私の手を指差したまま、もう片方の手で抜刀体制に入っていた。

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作者名:雪だるま太郎 | 作成日時:2018年7月19日 22時

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