桜木ちゃんと刀の日和【刀剣乱舞】 (ページ38)

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参拾陸話ページ38

「で、四代目。
四代目は、遭遇してすぐ殺されたよ。

その後は皆でこの本丸に立て籠もって、政府の手から争った。

僕や緑丸と、あと一振り…は誰だったかは忘れてしまったけれど、
この三振り以外は全員折られてしまった」

その声音のせいで、子供向けの昔話を聞かされているような気分になっていた。

でも内容はそんな穏やかなものじゃなかった。

目は冴える一方だ。

「ありゃ？
さっきよりも目が開いてるね…」

『眠くなる話ではなかったので…』

「困ったなあ」

筋肉が働かないので伏せる体制はやめられなかった。

髭切さんが言っている「緑丸」というのは、加州さんたちが言っていた「鶯丸」さんのことだろう。

…鶯丸さんであってるかな、うろ覚えだから自身が無い。

その方は一代目の審神者の人が居た時から顕現していたとみた。そういう話だった。

やっぱり一度お話しないといけない。

今は何処に居るんだろう、多分本丸には居ない。

だから恐らく離で放置………＿＿＿

『あの、髭切さん』

「何かな」

『私を離まで連れて行っていただけませんか』

髭切さん自身が「ギリギリで生きてる」と言っていたのを思い出す。

あの…衛生面で見てもあまりよろしくない場所に傷だらけのまま置いておくのは非常によろしくない。

「えぇ…？
僕もう疲れちゃったなあ」

『うっ…そこをなんとか…』

「明日じゃ駄目なの？
今日はもう寝たら？疲れてるんじゃないの？」

『寝たいけれど目が冴えてしまいました。

私は髭切さんに治してもらってただ疲れているだけです。

でも緑の刀剣男士さんは傷だらけの上にとても疲れています。

せめて傷だけでも治せたら』

「治すって…
僕が教えたのは荒技だよ、ちゃんとした治し方じゃないから君の霊力の消費が激しい。

あんまりやり過ぎたら寿命縮めちゃうよ。
君は倒れるのが好きなの？

それに、君に傷を付けた刀剣男士だよ？治したらまた斬りかかってくるかもしれない。

彼が治りきったら僕もただでは護れないよ」

『うっ…ぐ、言葉が痛い…』

彼は刀型のマシンガンなのではなかろうか。
連続で的確に急所を撃たれてしまった。

効果は抜群である。

それでも私は治したい。

私は折り紙付きの分かりやすい表情で、髭切さんに
強く、
訴えた。

「…政府の人に怒られちゃうと思うけど、
ちょっとした裏技があるよ。

聞く？」

髭切さんは、優しい笑顔をもっと優しくした。