拾陸話_視点:加州清光 ページ18
可愛くない？
…可愛くない？俺の今の主。
歩くのも可愛くない？さすが女の子っていうか…いや、でも、
可愛くない？
最初の雰囲気は、無表情だし俺ともあまり話したがらないみたいだしで、お堅い感じの人なのかなって思ってた。
仕事に対する情熱が凄いから、やっぱそういう人なんだなって思って、
ちょっと、寂しくなった。
俺はこの人から愛されることは無いのかもしれない。
そう思った。
でも
いざ俺から話してみたら、それまでとは全然違って感じた。
あんまり今までとの差が違うからちょっと驚いた。
それと仲間を大切にしたいという気持ちが強かったのを見たら、もう
この人に選んでもらって心底良かったと思えた。
…もう一つ驚いたのが、
人を騙すのが大好きな人間という生き物のはずなのに、人を騙すどころか
自分の気持ちを隠せないところ。
だから、こんのすけを追い出した時の「口から出まかせ」っていうのは、本当に疲れたんじゃないかと思う。
その後に話しかけるまで「なんでこの人こんなに疲れてるんだろ」って思うくらい疲れた顔してたから。
きっと根っから綺麗な心を持ってるんだろうな。
「加州さん？」
『あっ、…ん？何？』
ビックリした…
俺も心の声漏れてんのかと思った…
大丈夫そ…良かった…
「…大丈夫ですか？もしかして具合悪いですか？」
『いや？
ごめんね、ちょっとボーッとしてただけ』
「それなら…
あっ、じゃあさっきの小夜さんの話聞けてません？」
『えっごめん全然…』
「いいよ。
手分けしようかって話してただけだから」
手分けか。
そっちのが確かに効率良いわな。
現在地は、本丸から出てすぐのところ。
庭の、池の前。
「そうしよう」
「分かった、じゃあ僕は高いところから探すよ」
『ありがとう。
じゃあ俺と主はここで二手に分かれようか』
「分かりました。
ところで待ち合わせと時間はどうしましょう」
「「あっ」」
失念してた…！
俺時計とか持ってないし…
小夜も多分持ってないよね…
「あっ、じゃあ」
そう言って主は短い下衣(？)を探り始めた。
…前から思ってた。
その服は一体どういう物なのか。
女性ってそんなに露出して良いものでなかったと思う。
「これとこれ、お二人に」
そう言って主が下衣(？)から取り出したのは、何かよく分からない機械が２つ。
俺と小夜左文字は揃って首を傾げた。
「「何それ」」
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作者名：雪だるま太郎 | 作成日時：2018年7月19日 22時
