拾伍話 ページ17
でも、でもこれは
これは今現在、説明書を放棄しているこんのすけさんが悪い。
「うーん…
こればかりは俺たちにはどうにもできないよ」
「出陣先とかは審神者が決めるものだからね…」
そんなことを言われても、知らないものは知らない。
たかが女子高生の言葉に…とも思っていたが、大人でも腹の立つことはある。
言い過ぎてしまった自覚もある。
でもあの時は仕方がなかった…
結局無事に小夜さんは鍛刀されたのだから、許してもらえないだろうか。
いやあの頭でっかちなお狐さんは、鍛刀よりも時間だった。
これだから大人は。
「…分からないなら、探索するしかないと思う」
「そうだね、探そうか。
こんのすけが頼りないなら、俺たちなりにやるしかないよ」
なんて優しい方々なのだろう。
神様とはここまで器の大きいものなのか。
『ありがとうございます』
良いところに来れた。
私は昔から、周囲の人に恵まれる体質を持っているようで、嫌な人には会ったことがない。
今回もどうやらその体質が仕事をしてくれたようだ。
「主、今初めて笑ったね」
『え"ッッ』
そう言われて初めて思い出した。
そういえばここに来てからずっと緊張していた気がする。
ずっと身体が強張っていた気がする。
その糸が解けたようだ。
「主、笑った方が可愛いよ、」
『加ッ州さんッ！
それはあまり女性に対して言わない方がいいですよ！！』
「！？」
勘弁してほしい。
そういうのホント勘弁してほしい。
私はそういうのには慣れてない。
友達に言われるだけでも照れてしまうのに。
「それで、いつ行くの」
『今行きましょうすぐ行きましょう』
「…主、もしかして照れてる感じ？」
『微塵も全然照れるとか無いです』
それからしばらく加州さんと目を合わせられなかった。
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作者名：雪だるま太郎 | 作成日時：2018年7月19日 22時
