拾参話 ページ15
「人が絶対に持ってる力として、
物理的な力と潜在的な力があるわけ」
『はい』
かくして「加州清光の霊力講座」がスタートした。
加州先生の説明は分かりやすそうだ。
「物理的な力ってのは、まあ筋力とかね。
これがあったら力持ちとか、力があるって言われるよね」
『はい』
「で、本題は
潜在的な力の話。これが霊力なんだけど」
『はい』
「人は最初からこの力を持ってるのね。少ないとか多いとか個人差はあるけど」
『はい』
「…そんで、主が今なってる審神者っていうのは、その人の中でも霊力が多くないとなれないわけ。
何故かっていうと、神様を扱わないといけないから」
『はい』
「霊力が少ないと神様が従ってくれなかったり、
今回の仕事だとそもそも実体化をさせることができなかったり、
まあ…審神者の仕事ができない」
『…はい』
「でさ、その霊力
俺の主は審神者の中でもなかなか良い感じだと思うのね」
『…それは、どうしてでしょう』
どういう形であれ、褒められるのは嬉しいものだ。
「多い」とかそういうのではなく、「良い感じ」ときた。
ちょっと表現が違うだけだったのかもしれないけど、嬉しいのには変わりない。
「悪い人って多分どの時代でも居ると思うんだよ。主の時代にも居たんじゃない？」
『はい、居ます。ニュースとかでよく見ます』
「…ごめん、俺そのニュースってのはよく分かんないんだけど、
悪い人の霊力って濁ってたりして汚いんだよね。
主の霊力は、実際に注がれた身として正直に言わせてもらうと
凄い綺麗なのね」
『うっ…』
「えっ、大丈夫？」
『大丈夫です、すみません褒められ慣れてないものですから…』
「じゃあ今からもっと褒めるから慣れていこうね」
『ぐっ…分かりました』
「ん。
主の霊力は綺麗で、尚且つ審神者の中でも結構多い方だと思うんだよ。
だから政府も放っておけなかったんだと思う」
『そうなんですね』
「そう。意識しなくても付喪神を実体化できるくらいの大きな霊力がその証拠。
審神者って主の天職だと思う」
照れるのを必死に我慢して下唇を噛み締めて加州さんのお話を聞いているが、
なかなか…しんどい。
心臓がバクバク言っている。
いやぁ…加州さんに出会えて良かった…
嬉し…
「そんな感じだから、ちょっと雑だけど結論言うとさ、
多分触れるだけでその刀、実体化できると思うよ」
『マジですか』
「マジ」
マジか。
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作者名：雪だるま太郎 | 作成日時：2018年7月19日 22時
