拾話 ページ12
『…さて、
あとどれくらいかかりますかね?』
今までに無い饒舌ぶりを披露したために疲れに疲れた私は、しばらく放心した。
その後に小人の職人さんに時間を確認した。
小人さん曰く、あと18分程だということだ。
小人さんの顔色は先ほどより良かった。
『分かりました、じゃあできた頃にまた来ます、お疲れ様です』
職人さんは笑顔で手を振ってくれた。
*
鍛刀の部屋を出てしばらく。
加州さんはずっとついてくる。
色んなところを練り歩いて色んなところを見物している。
加州さんはずっとついてくる。
「ねえ」
『ひょぅっ』
「えっ何今の」
『…すみません』
くっ…
くぅっ……
いいじゃない…いいじゃないの…
誰だってビックリすることくらいあるでしょう…
『…それで、どうしました?』
「ああ、うん…
ちょっと言いにくいんだけどさ」
『はい』
「…アンタって、俺らのこと、仕事の相手としてしか見てない感じ?」
『えっ?』
「えっ」
なんでそんな社畜みたいな奴だと思われ
あ”ァッ!!!!!!
心当たり!!!!!!!!!!(さっきのこんのすけさんとの言い争い)
『そんなことないですそんなことないです恐れ多いです申し訳ないです』
「えっ、いや…謝らなくてもいいんだけどさ」
『いえでもそのあの…
さっきのこんのすけさんとの言い争いのことですよね?』
「まぁ…ちょっと気になってるって程度なんだけど」
『すみません…
加州さんは神様だし、私は顔にすぐ出るみたいだし、隠し事は良くないですから言ってしまいますとですね…』
「うん」
『………口から、出まかせというか…
特に何も考えずに…言ってしまったというか…
小人さんの気持ちを汲もうと必死で…』
後先考えないで喋ると、自分も他人も傷つける事があるから、発言はちゃんと考えて責任を持ってしようね。
お母さんが言っていたことを思い出す。
お母さん…今、身を以て体験したよ…
「…マジ?」
『マジです…』
紅色の綺麗な瞳が私を見つめている。
逸らしたいけど逸らせない。
この時間がとてもつらい。
すごい長い。
と、感じていたのもつかの間だった。
マジマジと私を見ていたその瞳は瞼に隠されて、次にその瞼が開いた時には
「俺、主に選んでもらえて良かった」
加州さんは笑顔になっていた。
『…ありがとうございます』
少し気持ちが和らいだのが分かった。
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作者名:雪だるま太郎 | 作成日時:2018年7月19日 22時