FLYHIGH

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たあくんと隣の部屋へ来たけれど
ここ
ベッドルームやんな。


ごめんなあ
リビングとベッドルームと
ウォークインクローゼットと
書斎しか部屋ないねん。


戸惑った顔してたんやろな。
たあくんは情けない顔で謝った。
まあ、
一人暮らしなんて
リビングとベッドルームと物置ありゃ
じゅうぶんやもんな。
ただいっこいっこがめちゃくちゃでかいねん。
ベッドに天蓋？初めて見たわ。


りょうちゃん


ベッドルーム言うても
小さなテーブルとソファが一対あって
そこへ座るよう促されて
たあくんはベッドに腰掛けた。


たあくん
て呼んでええかな？
オレが話してもええ？


おそるおそる聞いてみる。
また怒ったり悲しんだり
させた無いからな。


たあくんは
俺をまっすぐ見つめて
しっかり頷いた。


あの
覚えてへんくてごめん。
あのな。
たあくんおれへんようになってから
オレな、幼稚園行けんかったらしいねん。
キミくんは
たあくんがいなくなってすぐくらいに
母ちゃんの再婚でアニキになった人やねんけど
キミくんがそう言うとったし
章ちゃんのおばちゃんの日記にも
そう書いてあってんて。
悲しすぎて、記憶飛ばしたんかな？

でもな
オレのこと探しとる人がいるって
その人が婚約者やいうてるって聞いた時
すっごい遠くで呼んでくれた声があってん。
悲しいような切ないような
それでいて嬉しいような。


たあくんのその鳶色の瞳に
しっかりオレがうつっていて。


なんだかまた泣きたくなった。

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