勝負~俺のがん細胞くん~

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渡辺side







康｢ ……たくん、しょうたくん。｣







誰かの声が聞こえ、目を開ける。







康｢しょっぴー、分かる？｣

『 こ、じ…？』







俺が名前を呼ぶと、良かった〜と崩れ落ちる康二。



話を聞くところによると、

俺はあの後、3日間程眠っていたらしい。






康｢ 本来なら目を覚ましてもいい頃なのに全然起きへんから…俺が嫌われたんかと思たわ！｣






昨日まで集中治療室に居たんだけど、

状態も安定したからこっちに戻ってきたんだって。




まだ起きてへんのに、検査も色々やってしもたわ〜

って謝ってきた。


いやそんなの全然いいんだけど。笑







康｢ もうすぐ、照先生から詳しい説明があるからな。｣






康二が、照先生に俺が目を覚ましたことを連絡して

もう一度俺の手を握る。





ふとラウールの方に目をやると、

こちらに向かって手をひらひらと揺らす。



……てかあいつ、大きくなってる。








・








ｺﾝｺﾝ＿＿＿＿

岩｢ しょうた、入るよ？｣






少ししたら、照先生が来た。

俺に今回のことを色々と説明する。



照先生も康二と同様、

勝手に検査したこと謝ってきた。


だからそれは気にしてないってばぁ。







岩｢ …っというわけ。しょうたの場合、がんの進行がかなり早い。この間せっかく小さくしたがん細胞も、この短期間で元通り…いや、もっと大きくなってた。｣







がん細胞は、

抗がん剤前より一回りほど大きくなっていたみたい。



これ程の急激な成長は、


医学的に全然有り得る話ではあるんだけど

滅多にある話ではないらしい。




照先生も検査してみて驚いたのだと。







『 …そっか。』








抗がん剤あんなに頑張ったのに……とも思ったけど、



逆にあれをやっていなかったら今頃

とんでもないほど大きな爆弾になっていたかと思うと、



やっておいて本当に良かった。

照先生ありがとう。







岩｢ そこで、1つ俺から提案があるんだけど。｣

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