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佐久間side
泣き叫びながらしゃがみ込んだ俺。
ぎゅっと瞑っていた目を開くと、今度は沢山の人が座っている場所にいた。
『 ……?』
ハンカチを持って涙を拭っている人、泣くのをこらえている人、ぼーっと一点を見つめている人。
耳を抑えていた手を外すと、聞こえてくるお経の声。
……お葬式だ、、、
「大人しくしてなさい」と半ば強引に椅子に座らされた。
にこやかに笑うお母さんの遺影を眺めていると、聞こえてくる声。
「 息子さんを助けたんですって… 」
「 子供思いの優しいお母さんだったものね… 」
隣で、お父さんの拳が握られたのが分かった。
こんなにもお父さんを苦しませて、たくさんの人を悲しませて…みんなに愛されていたお母さんを奪ったなんて、俺は最低だ。
今よりうんと幼いながらに、そう思ったんだ。
『 お父さん、どこいくの…… 』
葬式が終わり、
痛いくらいに手を強く握られて連れてこられた場所は
よく家族3人で来ていた海だった。
『 おとうさん、?』
夕日を眺めながら、お父さんは涙を流す。
大介…と一言俺の名前を呼んで、こう言ったんだ。
父「 お母さんのところ……行こうか。」
一緒に海に沈んじゃおう?…お父さんは笑ってた。
笑いながらそう言って、泣いてた。
『 ……いやだよ、』
俺は、それを拒否したんだ。
お父さんに目を覚ましてほしくて、俺は必死に叫んだ。
父「 ……何で、」
『 え…?』
父「 何でお前はいつもそうやって…っ、俺の言うことを聞かないんだ!」
今度は、俺の手を放り投げてお父さんが叫んだ。
父「 あの時だって…俺はあれだけ一人で走るなって言ったのに!なのにお前は勝手に道路に入っていって、だからお母さんは死んだんだろ!!!」
身体中に電気が走ったかのように、びびっと痺れて動かなかった。
この時はじめて、誰かに責められたんだ。
今までは、大介くんのせいじゃないからねって慰めてくれた大人達が……俺を罵る声が聞こえた気がした。
父「 お前がきえろよ… 」
ごめんねお父さん…俺が悪かったから。
俺のせいでお母さんは死んだ。消えるのは俺でよかったのにね。
『 ……ぅあ、』
ぐるぐると視界が回って、立っていられなくなった。
柔らかな砂浜に身を丸投げて、ぼやける中で遠くへ離れていくお父さんに手を伸ばす。
でも、その手は何も触れることなく宙を彷徨い、
俺は静かに闇へと落ちていった。
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ジュン18797 - 全部読みました!感情とかが細かく書かれていて読んでいて面白かったです! (8月3日 9時) (レス) id: 6ba9c2fcff (このIDを非表示/違反報告)
じゃにおた - 全部読ませていただきました!とても、面白く読んでいて世界に入りこまれました! (2023年1月31日 22時) (レス) @page27 id: 2be8c6eb2c (このIDを非表示/違反報告)
サト - 全然待ちます!新生活、大変ですね…頑張ってください!いくらでも待ってます! (2022年4月5日 13時) (レス) id: 8a6205e17c (このIDを非表示/違反報告)
わらび餅(プロフ) - サトさん» 御愛読いただき、ありがとうございます!リクエストですね!ぜひ書かせて頂きます!しかし、作者新生活が始まりバタバタしてて…リクエストの分を書くのは先になるかもしれませんがよろしくお願いします! (2022年4月5日 12時) (レス) id: d88059d669 (このIDを非表示/違反報告)
サト - こんにちは!全部読ませていただきました!本当に面白かったです!リクなんですが…翔太君か樹君の過去を書いていただけないでしょうか?無理だったら全然大丈夫です!無茶を言ってしまってすいません…これからも楽しみにしてます!頑張ってください! (2022年4月2日 10時) (レス) id: 8a6205e17c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:わらび餅 | 作成日時:2022年1月5日 21時