繋ぐ~心に傷を負ったこどもたち~【6】

＊ ページ18

宮舘side









｢ お待たせしてすみませんね〜。あら、お取り込み中だったかしら？｣

『 いえいえ。では、お願いします。』

｢ みなさん、どうぞこちらへ。｣









ラウールの叔母様が、奥の部屋へ案内してくださった。


みんなゆっくりと、中へ入っていく。







村｢ あ…… ｣

｢ 今は人工呼吸器を付けていないと生きられない状態です。ほとんど目を覚まさないし、起きても15分ほど話したらすぐに寝ちゃうのよ。｣

村｢ おとうさん…… ｣








ラウールは、ゆっくりゆっくり父親の元へ近づいた。


肩が揺れているのが後ろから見て取れる。







『 ラウール？君のお父さんから伝言。』








“ お前を置いていって悪かった。いつまでも愛している “








俺は、おじさんから預かった言葉を、

あの口調、あの表情のままにラウールに言って見せた。




ラウールはまた1つ涙を落として、父親の手を握りしめた。









村｢ お父さんは、お出かけに行ったわけではなかったんだ。……僕を捨てたわけじゃ無かった、良かった。｣








ラウールの父親は、目を瞑ったまま動かない。






だから、ラウールのお父さんの左目から

一筋の涙が流れ落ちているのに気づいたのは、

…きっと俺だけ。








村｢ お父さん……おかえりなさい。｣







ラウールは、笑っていた。








村｢ また、会いに来てもいい…？｣

｢ もちろん！きっとこの人も、ラウールに会えて嬉しいと思うわ。待ってるわね？｣

＊→←優しい嘘

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す