繋ぐ~心に傷を負ったこどもたち~【3】

＊ ページ28

康二side






『 近づかんどいて!! 』






きっと俺の言葉は、佐久間くんの心を傷つけているはず。


それなのに佐久間くんは、

しっかりこっちを向いて足をとめない。







『 震えっ、止まれよ…… 』






息が吸えなくなる苦しさと、恐怖で

尋常ではないほど震えている体。



すると、バサッという音とともに温もりを感じた






『 さくま、くん……？ 』






佐久間くんが俺を抱きしめていた。


しかし、未だに怯えている俺は

佐久間くんの腕の中で暴れ回るせいで、呼吸がどんどん荒くなってくる


それなのに俺のことを抱きしめて離さない佐久間くん。






佐｢ 康二聞いて。…何があったかは俺には分かんないけど……大丈夫、康二には俺らがついてるから。
だからさ……笑ってよ、康二 ｣






優しい声。

その声は、俺の心を『 安心 』へと導いていく。






渡｢ そうだよ康二。｣






ここでまたひとつ。温もりに厚みが増した。






渡｢ ……よく頑張った。今まで、康二は1人でよく頑張ってきたな。もう大丈夫だよ。｣

『 ｸﾞｽ…、 』






俺の冷えた心が、佐久間くんの温もりと加わったしょったの温もりでどんどん熱くなってくる。






『 さくまくん……しょった…… 』







……不思議だね。

さっきまでの苦しみが嘘のように無くなったよ。





なんか眠くなってきたな……








過呼吸になって体力が力尽きたから？

……いや違う。






抱きしめられ、優しい言葉をかけてもらっていることによって得られる


極度の『 安心 』で


どんどん力が抜けていく体。






そんな俺の体を

佐久間くんとしょったは絶対に離さなかった。





まるで、

｢ もう一生離さない。｣




そう言っているかのように。






2人のの温もりを感じながら、

ゆっくりと夢の中へと落ちていった。

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